驚くほど呆気ない ページ13
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ヒラくんに取り残され、呆然と立ち尽くす私。
え、今何が起こったの?
ヒラくんがキヨのほうが、って言って、それで、居なくなって…。
そこではたと気付く。
(……もしかして、私振られた?)
いや、振られたとは違うのかな、付き合ってる訳だし。じゃあ、別れ、た…?
あれ、こんな呆気なく終わるの?
だって、付き合う前は沢山悩んで、考えて、やっとのことでヒラくんに想いを告げて、付き合えて。
それがこんなあっさりと終わってしまうものなの?
付き合うっていうことが初めてな私は、終わりが分からない。
もうヒラくんの隣で笑ったり、
歩いたりすることはできないの?
もうヒラくんは私に"好き"って言ってくれないの?
自然に涙が溢れて出てきて、どうしたらいいのかが分からなくて、その場でしゃがみこんだ。
(帰りたい、こんな泣き顔誰にも見られたくない。…でも、荷物、学校にあるんだった)
ぐしぐし、と止まらない涙を拭っていると
後ろからとんとん、と肩を叩かれた。
「Aちゃん?」
紛れも無い、フジくんの声だった。
サァーッと私の熱が引いていくのが分かる。フジくんに遭遇するなんて運が悪すぎる。こんな涙と鼻水で汚れた顔を見られる訳にはいかない。
私は頑なに顔を覆っている手を外さず、首をブンブンと振った。
「……ヒラからAちゃんの鞄渡してきてって言われたんだけど、……何か、あった?」
フジくんは私の背中を優しく撫でながら、端的にそう言った。ヒラくんから詳しいこと聞かれてないのかな。
私は腕でゴシゴシと涙を拭き取り、フジくんから鞄を受け取った。
そして、私の真っ赤に腫れた目を見て、ひどく心配をしてくれたが、私は「大丈夫」の一点張りで押し通した。
「………お節介かもしれないけど、俺で良ければ聞かせてくれないかな、ヒラと何があったか」
フジくんは私の目をはっきりと見て、そう言った。
何か聞き覚えのあるセリフだと思ったら、前に私が彼、フジくんに言った言葉だった。
今度はこの言葉を私が言われる側になるとは思わなかった。
私はまた、溢れそうになるものを止め、目の前の彼の言葉に肯定を示した。
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まちや。(プロフ) - おばけさん» ありがとうございます!!^^ (2019年2月27日 23時) (レス) id: e16223c2be (このIDを非表示/違反報告)
おばけ - めちゃおもろいです!更新応援してます! (2019年2月27日 16時) (レス) id: c7fac66308 (このIDを非表示/違反報告)
まちや。(プロフ) - スカイさん» スカイさんこちらにもコメントありがとうございます!!身に余る言葉ばかりで嬉しい限りです( ; ; )それと母のくだりが面白くてふふ、と笑ってしまいました(笑)とても励みになります、これからもよろしくお願いします! (2019年2月14日 5時) (レス) id: e16223c2be (このIDを非表示/違反報告)
スカイ(プロフ) - え、あの。好きです。←どうしたこいつ。 最初、ヒラさんだ〜。面白いのかな〜?と思い読んでみたら、なんということでしょう。作者様が神でした。面白過ぎて、1日で全シリーズ読んで仕舞いました(笑)←このあと母に怒られました。 更新気長に待ってます! (2019年2月13日 23時) (レス) id: bfb55ad556 (このIDを非表示/違反報告)
まちや。(プロフ) - リルさん» ありがとうございます!!とっても励みになります( ;∀;)神だなんてそんなことないです!( ˘ω˘ )これからもどうぞよろしくお願いします!! (2018年5月17日 7時) (レス) id: e16223c2be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まちや | 作成日時:2018年5月3日 13時