フェイクな恋【完】

表社会。 ページ22

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秀太のMVは、みるみる内に、視聴回数が増えた。









末「A、今会社にAのことを知りたいって手紙やメッセージがずっと届いているらしい。社長が、バラエティーに出てみないかって。どうする？」









貴「私は……。」
不安だった。正直どんなに強がっても
天涯孤独は寂しくて
母さんに会ってみたいと望む自分がいる
けど……隆弘や皆に迷惑をかけそうで
不安で仕方ないの。









末「あいつのこと……気にしてる？」
貴「うん……」
迷惑かけられないもん……









末「そっか…けど、バラエティー……出てほしい。」
秀太の気持ちなんてなんもわかってなくて、この時の私はなんで秀太がこんなにも表舞台にだそうとするのかわかんなかった。

でも、秀太が望むなら私は答える。
いつも助けてくれる秀太の言葉を
無下にはできないから。









貴「うん…。わかった。」









後日、収録現場に行くと秀太も居て
少しだけホッとした。
アナウンサーの方と司会の方に挨拶。
ア「末吉秀太さんと末吉さんのミュージックビデオで話題の謎の美少女、AAさんです。どうぞ！」

目の前の扉が開くと、眩しいくらいの照明と客席から「かっこいー。」「かわいー！」と言葉が飛び交う。







その中には秀太に近づいた瞬間
「やだー、近づかないで。」と
生々しい声も聞こえた。









ア「お二人は、どういったお知り合いだったんですか？」
末「実は、ある局のスタッフだったAに、一目惚れしちゃって！オファーしたんです。」
その瞬間の悲鳴は、決して気持ちのよいものではなくて……









番組の視聴率は、良かったらしくありがたいことに数ヶ所の事務所から正式に入らないかと声がかかった。
秀太と同じにすると言うことは、それすなわち隆弘とも同じになるわけでいずれどこかで会うこと。
でも、心のどこかで会いたいと思ってしまうから……結局決めてしまった。









すぐに、Twitterやらインスタやら
開設され、コメントやらいいねやらに
追われるようになった。









コメントに一つ一つ返答したいけど、
つぎから次に来るコメントに
返答の時間が追い付かない。



嬉しいコメントばかりでなくて
秀太に近づかないでほしい
ズルいなんかも多くて
そのなかに一つ……“もしかして、ニッシーと熱愛出てた人ですか？”と確信をついてくるコメントを見て、冷や汗が出た。

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