ページ ページ12
.
オフィスについて、扉を開ける。
「えっ」
『あ、伊沢さん』
目に入ったのは、我らがCEO伊沢さん。
仕事終わらなかったんですか?
かわいそう。
「Aどしたの、忘れ物?」
『そうだったらよかったんですけどね』
返事をしながら、近くにあった椅子へ腰掛ける。
「お、ついに喧嘩した?」
伊沢さんがニヤニヤしながら椅子ごと移動してくる。
この人ほんとにCEO?人の不幸は蜜の味って顔してるけども。
『いや、喧嘩じゃないんですけど………喧嘩というか………』
「俺ね、預言者だから次なんて言うかわかる」
『何言ってんのこのCEOは』
「イライラしてこうちゃんに当たっちゃった、とかでしょ」
『………すご、』
ほんとに当たってる。たまたまかもしれないけど。
「まぁ俺一応社長だから皆のこと見てんの」
『もう自分で一応ってつけてる時点でアウトですよ』
溜息をついて、机に頬杖をついた。
静かに息を吸って、ぽつぽつと話し始めた。
『………あの、前に伊沢さんがくれたプリンあったじゃないですか』
「あぁ、仕事先の人から貰ったやつね。結構いいとこのプリン」
『あれ、楽しみすぎてずっと取っておいたんですよ』
「消費期限大丈夫?」
『大丈夫です、その辺はちゃんと見てるんで。それで、今日帰って食べようと思って。冷蔵庫ウキウキで開けたんですけど、なくて』
あの時は本当に驚いた。
だって本来なら私の胃の中に収まっていたプリンが違う人の胃の中に収まっていたんだから。
「ふーん、こうちゃんが食べたんじゃねぇの?」
『こうちゃん以外ありえないのでこうちゃんですね』
「確かに。同棲してるんだっけ」
『こうちゃんに言わなかったし、名前とかも書かなかったから私が悪いんですけど。伊沢さんのプリン、こうちゃんに食べられちゃった』
「……そっか。今度は俺が買ってきてあげる」
『そういうとこは社長ぽくて好き』
「本音ダダ漏れだぞ」
『私なんでこうちゃんと付き合ったんだろ、私のプリン勝手に食べる人と付き合いたくないはずなんだけどなぁ……』
また溜息をついて、机に突っ伏した。
.
204人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
宇海 - 朝陽さん、勉強も更新も、頑張ってください!土曜日を楽しみに待っています。 (2021年3月4日 9時) (レス) id: 46e3728793 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - 宇海さん» 私の影響で執筆を始めてくれる方がいらっしゃるとは光栄です………!!私なんかでよろしければアドバイスします!参考にするのはいいですけど、内容が似すぎるとパクリ疑惑が浮上するのでそこだけお気をつけて!! (2021年2月22日 17時) (レス) id: 5cd266a065 (このIDを非表示/違反報告)
宇海 - 宇海さん» ありがとうございます!とても面白かったです!朝陽さんの小説はとても自分に合っていて読みやすいです。あと、実は朝陽さんの影響で私も小説書き始めたのですが、参考にさせてもらっていいですか?ぜひ覗きに来て、アドバイスください!(Umi_砂糖) (2021年2月22日 9時) (レス) id: da71833246 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - 宇海さん» Kwkmさんお待たせしました………!投稿したので是非♪ (2021年2月20日 15時) (レス) id: 5cd266a065 (このIDを非表示/違反報告)
朝陽(プロフ) - ちひろさん» はじめまして!コメントありがとうございます♪tmrさんhappyendですね、書かせていただきます!お知らせの通りですので、よろしくお願いします。 (2021年2月9日 20時) (レス) id: 5cd266a065 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朝陽 | 作成日時:2021年1月24日 21時