【短編集】Forme d'amour【QK】

夢がある/kwkm ページ1

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俺は最近、ソロで活動しているとあるアイドルにハマっている。





星波A。





SNSから話題になり、アイドルデビュー。





まぁ極端に言うと、俺の推し。





音域が幅広く、どんな曲でも歌いこなす。





しかし、1つ問題があるのだ。





『拓朗ー！！私が使ってるリップなくなったんだけど！買ってきて！』





星波Aは、俺の幼馴染である。





その事実を知った時は嬉しさとショックで気絶するかと思った。





「いつものやつ？」





『いつものやつ！』





「知らん」





『そこまで聞いといてそんなことある………？』





Aは残念だ。





美人なのに、大雑把で、ドジで、今みたいに面倒くさがり屋で。





スマホが鳴って、画面がつく。





【星波A さんがツイートしました】


星波A @Seina_a

リップ切れたんだが





さっき俺に頼んだやつやん。





瞬く間にリツイートといいねの数が伸びていく。





リプライの欄には「Aちゃんかわいい〜！」や「私が買ってきていいですか？？」などといった文字が。





その可愛い星波Aは今俺の隣におるんやけどな。





すまんな。1ファンの俺が独り占めして。





『拓朗はさ、夢ってある？』





「夢？」





『そう、夢』





「………ない、今楽しいから。Aは？」





『私？私はね、あるよ。夢』





真っ直ぐと前を見て、綺麗な笑顔で続けた。





『日本武道館で、ライブしたいの』





大きなステージで、ファン皆を呼んで、綺麗で可愛い衣装を着て、笑顔で歌いたい。





さっきまでリップのことで騒いでいた奴とは思えないほど、アイドルらしかった。


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