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月と猫 ページ25

???side




「ほんとにいかないといけない?」



思わずでた本音

いくら祖父の頼み事だとしても

どうにも気乗りしない




「王様がそう言ってたじゃん」




そう言う付き人も

どうやら乗り気ではない

僕の立ち位置がこれを強制させているのなら

こんな立場、誰かにくれてやる




「まだみんなのこと見つけられてないのに……」




そういって頭を抱え込んでも

みんなが現れてくれるわけでもない

ただでさえ広い世界

行方不明の人を探すなんて骨が折れるのに

僕の立場がそれをさらに難しくしている


危ない、公務がある、さんざん言われた

あきらめろ、相手は平民だ、耳にタコができるほど聞いた

僕のことが嫌いになったのだと、言われたこともある

例えそうだとしても、突然いなくならないで欲しかった

一言でも言ってくれれば

嫌いだって言ってくれれば

僕はここまで必死に探してないだろう




「一昨夜の魔物の被害はあの建物のみ、みたいだよ」


「……そっか」




この世界には魔物と呼ばれる者たちがいる

どれくらいの人がその存在を知っているのかわからないけど

きっとほとんどの人は知らないんだろう

だから綺麗に潰された建物も、ただ老朽化で崩れただけ

街に現れた魔物も、異形のものとして広まった


みんな知らないでしょ?

火も水も、服も食べ物も

彼らが作ってくれているなんて

思いもしないでしょ?


僕もそうだったもん

祖父から聞くまでは、なにも思わなかったもん

それがどれだけひどい行いだったのか

考えれば考えるほど

胸が締め付けられる




「みんな無事だよね」


「……うん。みんな普通の人間じゃないもん。大丈夫だよ」




あぁ、どうして……どうして今なんだ……

魔王に挨拶してきなさいだなんて……

今じゃなきゃ、喜んでいったのに……




「もう寝な?魔物の森までは遠いよ。もしかしたら途中で……」


「……うん。そうだね……会えるかも。ありがとう」


「いえいえ。おやすみなさい。月の君」

急すぎない?→←大魔王は父



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三歩止 - しずかさん» ありがとうございます!嬉しいです!もうすぐ続編に行くので読んで下さると光栄です! (2019年8月28日 22時) (レス) id: 7b39290272 (このIDを非表示/違反報告)
しずか - このお話、私のタイプどストライクです!!魔王の性格とか私の求めていたものです!!愛読させていただきます。 (2019年8月23日 17時) (レス) id: ef7732b81a (このIDを非表示/違反報告)
三歩止 - フランさん» そう言って貰えると嬉しいです!新作は特に言うこともなかったので1番最後に付け足してみました……! (2019年7月15日 19時) (レス) id: 7b39290272 (このIDを非表示/違反報告)
三歩止 - さくさん» ありがとうございます!時間見つけ次第更新していきたいと思います! (2019年7月15日 19時) (レス) id: 7b39290272 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - この作品面白くて凄く好きです……!後新作の報告とかを1ページ使わずに下にちょこんと乗せている所も好きです() (2019年7月12日 0時) (レス) id: 24d7937625 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:武蔵野 三歩止(ムサシノ ミホト) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年2月27日 18時

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