魔王ですけどなにか？２【歌い手】

ばかばかしくなりました ページ33

96猫side


急に態度が変わった魔王

別に私は魔王に恨みがあるわけじゃない

恨みがあるのはあいつらだけだ

あいつらだけだけど……

魔物に対する嫌悪感は平等だ

だから私は、自分が獣人であることを隠していた


不用心というかなんというか

天ちゃんはお人好しだ

ボロボロだった私をこっそり城に連れていき

介抱して行き場がないと知ると、じゃあ自分の護衛に。と言い出した

護衛って意味知ってる？って思わず聞き返したね

だって私のこと子供だと思ってたんだよ？

なのに護衛って……

一国の王子様がそれでいいのか……




魔王「ねぇ……」



ようやくひと悶着ついたのか、魔王が棒キャンディをほおばりつつ声を発した

その周りじゃあ、やけにくたびれた顔をしている金髪のやつがいて

やれやれという半ばあきれ顔を浮かべているまーしぃがいて

魔王と同じように棒キャンディをほおばっている魔法使いがいて

なぜか隅っこで座り込んで地面に何か書いている魔物がいる

が、なにも突っ込まずにいこう




96猫「なんや」


魔王「……わかってるでしょ？気づいてるでしょ？ 身内に敵がいるって。王子を邪魔に思ってる家臣がいるってこと。貴女は王子を守りたくないの？」


96猫「それは……」


「隠そうとせんでも、おたくの王は感づいているみたいですよ」




こちらのあほと違って、なんて恐らく余計な一言をつけたして金髪が口を開いた

本当に余計な一言だったらしく、魔王が鋭い視線を送っている




「失礼。口が滑りました」


魔王「……。交代！センラくんあっちいって！集中できない！！」


「じゃあ俺が」


志麻「や、俺が行く」


「あーあ。せっかく誤魔化したのに〜」




またもや騒ぎ出した魔物たち

なんなの？

こいつら定期的にふざけないと気が済まないの？

今めっちゃまじめな話してたじゃん！

それであれやろ？

こいつらひと騒ぎしたあと何事もなかったかのように真面目モードに入るんやろ？

付き合わされるこっちの身になってほしいわ……！




96猫「……ばかばかしくなってきた」


天月「ん？どうしたの？」


96猫「や、なんかもう……こいつらのこと魔物だからって警戒してたけど、もうどうでもいいわ」




どう見たってあいつらとは違うし

なんかこの魔物たち相手に真面目でいるのがばかばかしく思えてきた

まーしぃもいるし、天ちゃんの友人たちも気許してるみたいだし……

どうでもいいわ

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