迷惑なお迎え ページ4
そらるside
その後
Aの気が変わることもなく
俺たちも巻き込まれた
今は魔王軍が占領したという
王都近くの町へ向かっている
他の志願者も一緒に。
もちろん役職の兵もいる
その誰もが顔を強張らせているなかに
苦笑いの俺たちと今にもスキップをしそうなAが紛れている
浮いているのは明白だ
しかもコレ(A)が事の犯人だという
知られたらタダでは済まない
Aではなく人間が、ね
そこはやっぱり力量の差がある
人気のない町に足を踏み入れた
心なしか薄暗いし視線を感じる
姿は見えないが十中八九魔物だろう
嫌な感じを感じ取ったのか
集団はだんだん小さくなっていく
そして1つの建物の前で止まった
看板を見るに居酒屋
ここに止まったのは
閑散とした町に不釣り合いなくらい
騒がしいからだろう
出入り口の前で誰が中を確かめるかを
上の人間がもめてる時
中から人影が出てきた
出てきたのは
白い包帯を身体中ぐるぐる巻きにしている人
つまりはミイラと呼ばれる魔物が
ほうけた顔で俺らを見回した
それはもう人間宛らに……
「ひー、ふー、みー……あ、違う。いち、にー、さん、しー……」
何を思ったのか
指をさして人間の数を数え始めるミイラ
どっちでも問題はないけど
その数え方じゃ時間がかかりそうだ
実際に20あたりまで行ったところで
目を丸く(実際は包帯で見えないが雰囲気から)して中へ戻って行った
20まで数えられたのは人間側もまた
目を丸くして固まっていたから
ミイラが中へ戻ってからも口を開けていた
それを見たAがお腹を抱えて笑ってたのは
見なかったことにしよう
しばらくすると居酒屋は静かになり
外へ向かう足音が聞こえた
扉を開けて出てきたのは2人の人型の魔物
Aと同じぐらい人間の姿をしているから
おそらく上位の魔物だ
「わ、ほんまや!めっちゃおる!」
「えー……どーすんのこの人たち……」
単純に驚きの声を上げる眼帯の魔物
いかにも面倒くさそうに長杖を握る魔物
どちらもぐるっと辺りを見回した
それからどうしたものかと肩をすくめる
眼帯の魔物
その時
ようやく我に帰ったのか
一際いい武装をした奴が口を開いた
「こ、これ以上、侵略するなら、黙ってないぞ!」
なんとも情けない声でそう言った兵士
魔物の2人は顔を見合わせ首を傾げた
「いやいや。侵略やなくて、ただのお迎えなんやけど」
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三歩止 - しずかさん» ありがとうございます!嬉しいです!もうすぐ続編に行くので読んで下さると光栄です! (2019年8月28日 22時) (レス) id: 7b39290272 (このIDを非表示/違反報告)
しずか - このお話、私のタイプどストライクです!!魔王の性格とか私の求めていたものです!!愛読させていただきます。 (2019年8月23日 17時) (レス) id: ef7732b81a (このIDを非表示/違反報告)
三歩止 - フランさん» そう言って貰えると嬉しいです!新作は特に言うこともなかったので1番最後に付け足してみました……! (2019年7月15日 19時) (レス) id: 7b39290272 (このIDを非表示/違反報告)
三歩止 - さくさん» ありがとうございます!時間見つけ次第更新していきたいと思います! (2019年7月15日 19時) (レス) id: 7b39290272 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - この作品面白くて凄く好きです……!後新作の報告とかを1ページ使わずに下にちょこんと乗せている所も好きです() (2019年7月12日 0時) (レス) id: 24d7937625 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:武蔵野 三歩止(ムサシノ ミホト) | 作者ホームページ:なし
作成日時:2019年2月27日 18時