赤ワイン…

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You're side









川村さんに少しの励ましを貰い、
今に至るのだが…

今、彼の口から発せられた言葉は
とても信じ難いものだった。


──俺な、吸血鬼やねん。


信じられない事実だ。
いや、事実だと確証するものはいま、
ないのだが。


「いつからやろなぁ、2歳の頃の記憶がな、なんかに襲われたってだけやねん。」

｢襲われた、？｣

「あぁ、んで家族は我を失って家からバラバラに逃げた。」

SFの漫画のような話題に、
声も出ない。

「俺は唯一、理性を保って人間としての意思を持ち合わせてるけどな。」


｢じゃあ、家族の方々は」

「知らへんよ。どこにおんのかも、生きとるかも。」




「ってか、Aちゃん、だいぶすごいなぁ。突然のカミングアウトに驚きもせぇへん。怖くないん？」

｢怖いより、なんか衝撃的で、、｣

「んまぁ、そんな人もおるか。それに今髪も黒いし牙もないからなぁ。」


言われてみればそうだ。
今気づいた。吸血鬼らしさはどこなもない。
どこか吸血鬼なのだ、と疑いたいほど。


「よっしゃ、」

ゆっくり立ち上がった彼をみあげる。

──俺ん家か、Aちゃん家行こか。

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