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〜澪side〜
家に帰る途中、土森らが私を追い越していった。その背中を、見えなくなるまでずっと目で追い続けた。
自分でも、目で追うだけでしか胸をときめかせることが出来ないのは情けなく思う。
でもどうにも出来ずに、毎日もやもやが消えない。増えていく一方だ。
晩御飯を食べたあと、上の自室で勉強をしていたが、どうも静かすぎて落ち着かないのでラジオを聞き流しながらやることにした。
ザザッ...というノイズのあとから聞こえてくる少し鼻にかかったような女の人の声。どこかで聞き覚えがある。
あ...この人!りんごりらっぱいんの福トクコだ。間違いない。最近某司会者との不倫騒動でなにかと話題の福トクコだ。この人もいろいろ苦労してきたのかなと思うと妙に愛着が湧いてくる。
リスナーからのお便りを読み、それに福トクコが応えるというなんとも地味なコーナーらしい。変なラジオネームに続いて、お便りを読み始めた。
「ムキムキMAXボーイさんからのお便りです、僕には今片想いしている人がいます、うんうん...でも僕には話しかける勇気なんてとてもありません。これといった接点もないし、きっかけがないんです。僕には彼女を遠目で見るくらいしかできません。つー!どうしたらいいでしょう、はい...なるほどね〜」
思わずペンを落としてしまう。同じ悩みを抱えた人がほかにもいるんだと実感した。なんと答えるのか、胸騒ぎがした。
「そうねえ...ムキムキMAXボーイくんは彼女のことが好きなのね?まあでも気持ちは分かるのよ、でもね...やっぱりね、もう当たって砕けろくらいの気持ちでいかなきゃダメよね、恋なんてね。いやでも本当、憧れて遠目で見てるだけじゃ進まないのよ?」
最後のひと言が、ぐさっときてしまう。まさに私に向けた言葉のように聞こえた。
変わりたいと思った。もう遠目で見てるだけの自分とはおさらばしなければと、思えた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜つー!の登場でーす!
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飛燕 - 読ませていただきました!関東子の話すごく面白いし根岸くんの話もキュンキュンする場面が多くてシチュエーション想像しただけでもうたまらないです…!!!ぜひとも続き読んでみたいです! (2021年9月9日 7時) (レス) id: 96bccf4e47 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2021年1月10日 0時