『jarujarutower』

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某新年恒例番組の翌日、さっそくスケジュールが埋まっておりました。光栄なことなんでしょうが、お昼頃に放送されるワイドショー番組に出させてもらうことになりました。

慣れないテレビ局。ヒールの音がコツコツ鳴り響くロビーをすり抜け、エレベーターを待っていると、番組に出ていらっしゃった三ノ輪ひかるさんと出くわしました。

「こんにちは。」
先に口を開いたのは三ノ輪さん。礼儀正しい方だと思いました。芸能界というのは、礼儀が大事です。
まだ何も知らない私が言うのもなんですが。

「こんにちは、昨日のネタ、良かったですね」
そうは言ったものの、どんなネタを披露されたか曖昧でした。たしか「コントット」とか言ったかな。

「わ！ありがとうございます、関さんも凄く面白かったですよ。Twitterのトレンド入りもしてましたし」

「そんなに話題に…私Twitterやっていないから、わからなかったです。」

三ノ輪さんが驚いて「え！」という素っ頓狂な声を上げたとほぼ同時にエレベーターがおりてきました。

「芸人さんなら、Twitterやりましょう！収録の後やり方おしえます！」
私の冷えた手をとって、キラキラした目で三ノ輪さんは言ってくれました。

収録中、兄がテレビを見ていないか頭がいっぱいでしたが、なんとか切り抜けられました。ぼーっとしているだけでみなさん笑ってくださるから、こんなのでいいのと思っちゃいましたが。

収録後は予定通り、三ノ輪さんにTwitterのアカウントの作り方を教えてもらいました。するとなんと、驚くべきことに三ノ輪さんは私の兄をフォローしていました。

間違いなく兄でした。少ないとも多いともいえない、だけれど芸人として見れば異様に少ないフォロワー数、決定的なのはプロフィール欄です。「質量重たくなっちゃうよ！」と書いてありました。こんな言い回し、兄くらいしかしません。

「あの…関東人さんとお知り合いなんですか？」

「そうですね、まあ顔見知りという程度です。事務所
が同じですし」

「じつは私の兄でして」

「え？！」

いや、そんな驚かれたら鼓膜が震えちゃうよ。

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