18歳、板挟み 2【WT】 (ページ10)

今日:13 hit、昨日:101 hit、合計:32,906 hit

「59.合流」ページ10

廃墟と化した住宅の屋根から屋根へ、最短距離で銃声が鳴り響く地点へ急ぐ

『この位置だと来馬先輩かな？結構バチバチにやり合ってるね〜』

「…確か大規模侵攻で黒(ﾌﾞﾗｯｸ)トリガー相手に来馬先輩が囮になったみたいすね。それが功を奏して、以前より肝が据わったとか」

『えっ、そんな事ある！？』

一瞬鵜呑みにしてしまいそうになったが、先輩を囮になんて、まず村上と太一が黙っている訳がない

…考えれば分かる事だが、侮られたものだ

『…小南みたく簡単に信じるなんて思うなよ〜？』

「いや、囮にさせた張本人(出水先輩)達から聞きました」

『嘘…アイツら、先輩相手に何やらせてんだ』

「けどまあ、怒るに怒れないんだけども」と困った様に呟く。すると「何となく分かります」と賛同が返ってきた

◇◇◇

「____あと3体、なんとか押し切れそうですね」

「そうだね。けど、無理は禁物だよ」

素早くブレードを振るうモールモッドをレイガストで抑えつつ

隙の出来た個体に対しては、突撃銃(ハウンド)で装甲を削りながら、時間を稼ぎ

少しでもトリオン兵側に連携が見られたら、イーグレットで動きを封じる

「正直消耗戦は避けたかったけど…そう選り好みもしていられないから」

仕方ないと苦い表情で笑って見せる来馬先輩を見ていたのか太一が反応を示す

「任せてください来馬先輩！俺がアイビスでアイツら木っ端微塵にしちゃいますんで！」

「っ、待て…！」

呼びかけた声はドンッと響き渡った銃声に掻き消され、直ぐに盤面は大きく動き出す

敵3体は一斉に、撃たれた際に閃光した狙撃ポイント目掛けて襲い掛るべく、大きく飛躍する

「くっ…スラスターオン！」

そのうち一体を身一つで押さえ込む事には成功したが、2体逃しては意味がない

苦渋の決断だが、逃したモールモッド目掛けて弧月を投げるか、しかし空中に投げるのは…とそう思考している最中

「エスクード」

エスクードで自身を空中へ飛ばし、見事な太刀捌きで敵を仕留める烏丸が居た

「遅れてすみません…これでラスト一体ですか」

そのまま鳥丸は弧月を鞘に納め、こちらに駆け寄る

「いや違う…あと一体逃したっ！太一、急いで逃げろ！」

「やべっ…！」

焦る太一の声と共に建物が半壊する音が通信越しに聞こえ周囲は緊迫した空気に包まれる

そうして、数秒後

『太一、ナイスガッツだったね』

「もうダメかと思いました……」