リハーサルは、いらない/2 side N ページ27
◇
約束した放課後が刻々と近づく。
五限、六限、と授業が過ぎていくたびに、心に靄がかかる。
おかしいな、なんでこんなに。
なんで、こんなにもやもやするの。
───そして、放課後を迎えてしまった。
今日はユニットのプロデュースも、部活も、真緒の生徒会の仕事もない。
どうしようもなく、真緒から逃げたくて。
通りかかったレオくんに「ジャッジメントのことなんだけど！」なんて勢いで話しかけて。
どうしようもなく、現実から逃げたくなった。
その理由が、わからなくて。
心臓が張り裂けそうなくらいに痛い。
その理由も、わからない。
どうしてこんなに、真緒が誰かのものになるのが嫌なのかわからない。
幼馴染として、素直に喜びたいのに。喜ぶべきなのに。
どうして、喜べないの。
茜差す廊下。ひとりで教室で待つ真緒に申し訳ない。
もしかしたらこの後、本番の相手と待ち合わせしてるだろうな。
ああやっぱり、わかんない。
なんでこんなに胸が痛いの？
なんでこんなに真緒が誰かのものになるのが嫌なの───
「…ああ、そっか」
私、真緒がどうしようもないくらい好きなんだ。
真緒が誰かを好きなんて認めたくなくて。
自分が真緒を好きなんて認めたくなくて。
真緒が誰かに取られるのが、嫌で嫌で仕方なくて。
夢中で走った。
なんで最後の最後で、こんな無意味な気持ちに気づいたんだろう。
この気持ちを誤魔化したくて、夢中で走った。
「真緒！ ごめん！ ちょっと話が長引いちゃって」
息を吸うように、吐くように。平然と嘘をついた。
あと少しだから。あと少しだから、我慢して。
長女だから、我慢して。背伸びをして、嘘をつかなきゃ。
真緒のために、笑っていよう。
「ああ！ 大丈夫だ！
それより、最後の練習付き合ってくんね？」
「はいはい、約束してたし」
「はいどうぞ〜？」なんて余裕なフリをして。
ああもう、こんな気持ち、気づきたくなかった。
「好き！」
「もっとドラマチックに」
「好き〜♡」
「なんかキモイ」
「好きなんだYO!」
「ラップ口調とかときめかない！」
「好き〜」
「もっと感情込めて！」
十回以上「好き」の練習を見て、「いいじゃん、それがいい」と笑ってみせる。
言わなきゃ、嘘つき言葉。
「応援してる」
今私、笑えてた？
巧く笑えてるの？
未練は残したくない。私は泣きそうな顔を見せたくなくて、急いで踵を返す。
もう、これでいい。
真緒が、幸せなら…それで、
「ッ待って！」
◇
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まいとりー。(プロフ) - 夏目かこさん» 夏目かこさん、コメントありがとうございます。そうです、大正解です！！ (2022年9月14日 7時) (
レス) id: a716690bac (このIDを非表示/違反報告)
夏目かこ - ハニワですね、告白予行練習 (2022年9月13日 23時) (レス) @page3 id: 26710bd71c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まいとりー。 | 作成日時：2021年11月20日 23時
