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山吹6 ページ6

じゃり、と音を立てて森の奥へと石が続いていく。
 枯れ果てた木の数々は、赤河童がもたらす妖気で萎れたように細くなった。

 枯れ果てた木の山は、妖たちの間では「大妖山(だいようざん)」と呼ばれ、畏れられている。

 今となってはその畏れに長時間耐えられる若者は居ず、畏れの受け流し方を熟知している赤河童しか、山の管理は出来ていない。山に入れる若者は数人はいるものの、山の奥の奥へは流石に行けないようだった。

 しかし、赤河童の見回りというのもひどく単純なものだった。

 元々、山の畏れの大きさから、「山全体が大妖怪のようだ」というので名付けられた山に好んで入る者は居なかった。いくらの大妖怪でも、「畏れの受け流し方」を知らなければ死んでしまうからだ。しかも、その受け流し方も特徴的で、あまり真似できるものでもない。
 それに加え、死人はその畏れの大きさから魂までも縛り付け、阿鼻叫喚を死んでもなお、味わせるのだ。

 恐れ多い山の近くで日々修行に励む遠野一家にとって、その妖たちの魂の阿鼻叫喚は、耳障りしかない。しかし、その遠野一家の妖怪もそれには文句は言えないので、「足しになれば」という赤河童の温真から成り立つ見回りなのだ。

 暫く歩いていくと、ひくりと「混ざった匂い」が赤河童の鼻をヒクつかせた。それは、酷く濃い、どこかで香った匂いでもある。
 そして、何よりも一番に肌で感じたのは、山の畏れに負けんとする、妖気の強さだった。まだ畏れの出し方も知らぬ者が、妖気をダダ漏れしているように感じる。

 どこかで戦っているのか? と一瞬は思うものの、その気配はなく、ただ気の弱さを感じ取れるほどだ。


 不思議に思った赤河童は、そのまま足を進める。そして、その妖気を追い、奥深くの茂みへと入って行った。

「ほう……」

 そして、その妖気を放つ者を見つけた時、物珍しそうにいつもの死んだような目は見開いた。そして、横たわり気絶した少女を興味深く見下ろした。

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ヒエ(プロフ) - とても面白かったです、更新頑張ってください! (2022年8月5日 17時) (レス) id: b7b4b6a723 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - いつの間にかお話いっぱい上がってる!続き楽しみにしてました!これからも頑張って!それにしてもこの小説をパクるなんて許せません! (2019年8月8日 12時) (レス) id: 8582319c10 (このIDを非表示/違反報告)
寅丸号(プロフ) - れんれんさん» 私もできうる限り直す所存ですが、抜けるところもあるかと思います。具体的にどの話に誤字があったのか、お手数ですが教えて頂けると幸いです。 (2019年7月31日 18時) (レス) id: aa5f260623 (このIDを非表示/違反報告)
れんれん - 誤字多いよう…頑張ってください (2019年7月31日 10時) (レス) id: 489d6b69f0 (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年7月13日 22時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆらき x他1人 | 作者ホームページ:https://www.pixiv.net/users/43825162  
作成日時:2019年6月5日 20時

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