山吹42 ページ42
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「良かったの？」
そう言ったのは、レイラだった。
山吹の手紙を握ったまま縁側から離れないイタクが不憫に見えてしまった。
「あいつには、あいつの目的がある」
イタクはそう言って、手紙を見下ろした。
たぶん、山吹は自分の気持ちに気付いていなかった。これからも、気づかないに違いない。相手にとって、この気持ちはただ目的の邪魔だからだ。
「そういうことじゃなくて」
レイラは、押し黙った。
イタクが寂しそうな目でレイラを見ていたからだ。
彼は決して慰めてもらおうとしてるのではない。ただ、言いたくても言えないそのむず痒さが、痛かったのだ。
「俺が言っても、仕方ねえだろ」
それは、諦めの言葉だった。
全ての、諦めの言葉。言っても彼女は振り向いてくれない。それをすべて分かって、イタクは諦めたのだ。
可哀想など、彼には似合わない。
彼はそれでも、それでも、その気持ちに嘘をつくわけにはいかなかったのだ。
一生付き合うつもりで、彼女を里から送り出した。
後悔はない。ただ、少しだけ、胸がぽっかり穴が開いたような感覚が残っている。それはもう、どうしようもない穴であることは本人も重々わかっていた。
里から送り出したのは、里の意思だ。イタクはそれに従った。それは、イタクの意思ではなく、次期当主としての意思だ。
いつか、彼女が思い出してくれればいい。
いつか思い出して、また戻ってくれればいい。そして、もしかしたらと笑ってくれればそれで、いい。
イタクは、ぐっとバンダナを握った。
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ヒエ(プロフ) - とても面白かったです、更新頑張ってください！ (2022年8月5日 17時) (
レス) id: b7b4b6a723 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - いつの間にかお話いっぱい上がってる！続き楽しみにしてました！これからも頑張って！それにしてもこの小説をパクるなんて許せません！ (2019年8月8日 12時) (レス) id: 8582319c10 (このIDを非表示/違反報告)
寅丸号(プロフ) - れんれんさん» 私もできうる限り直す所存ですが、抜けるところもあるかと思います。具体的にどの話に誤字があったのか、お手数ですが教えて頂けると幸いです。 (2019年7月31日 18時) (レス) id: aa5f260623 (このIDを非表示/違反報告)
れんれん - 誤字多いよう…頑張ってください (2019年7月31日 10時) (レス) id: 489d6b69f0 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです！頑張ってください！ (2019年7月13日 22時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらき x他1人 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/43825162
作成日時：2019年6月5日 20時
