山吹30 ページ30
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暫く表を歩き、ヤクザものが来ないであろうところに窮鼠を座らせる。
未だ戸惑ったように目を泳がせ、Aを見上げる窮鼠は、ただの捨てられた子犬のようにボロく、汚かった。
「あ、ありがとう、ございます……助けて、くれて……」
不安そうにモゴモゴと言葉を発する窮鼠は、一見、ホームレスの青年のようだった。見れば見るほど、可哀想で、自分に見えてきてしまう。
「いいっていいって。大変だねぇ……裏路地に住んでるんだろう？」
そう聞くと、窮鼠は顔をしかめ、苦しそうに「仕方ないんです……」と呟いた。
「好きで、住んでるんじゃ……ないんです。あそこしか、俺が住める場所、ないんで……」
悲しそうにそうAに言う窮鼠は、下唇を噛み、悔しそうにする。
奴良組に捨てられた後の傷、なのだろう。
関東地方は奴良組の支配下だ。破棄された者は、奴良組の妖には白い目で見られ、住み慣れたところを離れられず、ただどぶネズミのように暮らすことを強いられてしまう。
何事も、表があれば裏もある、ということだ。
この立場になったAに取って、それは凄くよく理解できたことで、知ったことでもあった。
「そっか……あのさ、こんなこと、聞くのもアレなんだけどね……。奴良組の本家の場所、知ってるかな？」
恐る恐る顔を地面に向ける窮鼠に小さく問うと、窮鼠はばっと勢いよく顔を上げ、こちらをじっと凝視し始めた。
「……とんでもねぇとこですぜ。俺は、ただ組のためにと思って言われたことをやってたら、組長がヘマしただけで破門ですから。あんな組、入るとこじゃねえ」
本当に悔しそうにはを軋ませる窮鼠が握る拳は、苦労をしてきた証を刻ませていた。
「そんなの、百も承知だよ。私はただ……見たいだけだから」
そう言い、窮鼠に視線を返すと、窮鼠は諦めたかのようにため息をつく。そして、「こっちでさぁ、姐さん」と立ち上がり、奥へ奥へと足を運んでいく。
「姐……？」
「へへっ、助けてくれやしたから」
「……ありがとう」
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ヒエ(プロフ) - とても面白かったです、更新頑張ってください！ (2022年8月5日 17時) (
レス) id: b7b4b6a723 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - いつの間にかお話いっぱい上がってる！続き楽しみにしてました！これからも頑張って！それにしてもこの小説をパクるなんて許せません！ (2019年8月8日 12時) (レス) id: 8582319c10 (このIDを非表示/違反報告)
寅丸号(プロフ) - れんれんさん» 私もできうる限り直す所存ですが、抜けるところもあるかと思います。具体的にどの話に誤字があったのか、お手数ですが教えて頂けると幸いです。 (2019年7月31日 18時) (レス) id: aa5f260623 (このIDを非表示/違反報告)
れんれん - 誤字多いよう…頑張ってください (2019年7月31日 10時) (レス) id: 489d6b69f0 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです！頑張ってください！ (2019年7月13日 22時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆらき x他1人 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/43825162
作成日時：2019年6月5日 20時
