初のお手伝い ページ17
《よっしゃ、照明消してくれ》
「はいはい」
最新鋭の警備システムが導入されている制御室に侵入した私は、右耳に着けてあるインカムの指示に従い、目の前にあるボタンを押す。
あとは先に屋上に行って彼が来るのを待っていればいい。
コツコツと踵を鳴らしながら屋上に繋がる階段を登ってドアに手をかけると、ガチャと、鍵かかかっていて開けることは出来ない。
私はパーカーのポケットから針金を取り出して鍵穴に差し込む。
数秒後、歯車の噛み合う硬い音がした。
「はい、開いた〜」
太宰さんなら、1秒も要らなかっただろうな、なんて頭の片隅で考えながらもう一度ドアノブに手を伸ばす。
「まてぇー！！！！キッド!!!!宝石を！！！置いていけぇー！！！！！」
と、一際大きな声が下の階から響いてきて、さすが青子ちゃんのお父さんだと思った。
親子揃って声が大きい。
軽快に階段を登ってくる足跡が次第に大きくなってきて、「ケケケ〜。今回も楽勝〜」と、余裕の笑みを浮かべながら彼は屋上にやってきた。
駆け込んできた勢いのまま、私のところにやって来た彼はヒョイッという効果音がつきそうな感じで私を抱えあげる。
「んじゃ、帰るぞ〜」
視界がぐらりと回転し、間延びした声が鼓膜を揺らした。月明かりが私を抱えあげる彼を照らす。先程まで私達がいたビルはもう小さくなっていて、ハンググライダーってこんなに早いんだなと呑気なことを考えた。
今回、初のキッドのお手伝いをしたのだが｡あまりにも、新鮮すぎた。いや、新鮮というか、なんというか。とりあえず何もかも違うのだ。
なんかこう、フラットというか、なんというか。緊張感のへったくれもないのだ。おかしなことに。
予告時間の少し前、インカム越しに「ショーの始まりだぜ！」なんて、言葉が聞こえてきたが、ほんとに、そんな感じだった。
なんというか、やっていることは紛れもない犯罪なのだか、悪いことしてる！！！みたいな実感がこれっぽっちも湧かなかった。
「あ〜これもハズレかァ。また、警部に返さねぇとな」
と、頭上で残念そうな声が聞こえる。
ジト目で私の頭の上で月に、今回盗んできた宝石をかざす愉快な怪盗を見る。
すると、私の視線に気づいたのか。「んだよ、見てーのか？」なんて、アホなことを抜かすので盛大にため息をついたのだった。
〜fin〜
【小さな名探偵との出会い編】犯罪都市。米花町�、�←お酒は大人になってから
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アゲロ - コナンクン，，，相変わらずすごいな汗頑張ってください！ (2020年9月27日 19時) (
レス) id: 206c89cdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - いや…吹っ飛ぶけど対した怪我しないからいいはアカンやろ(ツッコミ) これからも無理せずに頑張ってください！楽しみにしてます！ (2020年6月9日 0時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スピカ | 作成日時：2020年5月14日 17時
