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51、胡蝶蘭 ページ3
卒業式。
私を助けてくれた先輩の卒業式。
本当なら生徒会役員しか在校生は参加しない。
なのに私は、式場にいた。
式のBGMを演奏するために。
校庭に出れば、たくさんの生徒と
親御さんがいた。
花束や色紙をもらい、涙を流す人もいた。
そんな人混みをかき分けて、
私は1年生の靴箱の前にいた。
ここから校庭の様子は見えるけど
きっと私を見ている人はいない。
人の群れから外れた場所。
幸せそうな人たちを見るには
絶好の場所。
その中から1人、私に向かって歩いてくる。
ブレザーの胸ポケットには
幸せが飛んでくると言われている
胡蝶蘭のコサージュ。
はたして、彼に幸せは飛んできたのだろうか？
それとも、これから飛んでくるのだろうか？
どちらにしても、彼にとっては
大きな門出の日となったはず。
｢卒業おめでとうございます、紅竜先輩｣
｢ありがとう、きららちゃん｣
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