56、再会 ページ9
最近、考えることが多くて
あまり眠れていない。
世子様には、大丈夫だと言ったけれど
不安が無いわけではない。
自分で、自分に
大丈夫。大丈夫。と言い聞かせる日々。
何か、好転することがあれば…
｢世子嬪様、お客様がお見えです｣
｢こんな早朝に？｣
まだ太陽が昇ったばかり。
それなのに、なんの連絡もなく、突然の訪問者。
誰だろう…
母上だったら、どうしよう…
今の精神的に、母上の対応はキツイ…
どんな理由で帰ってもらおう…
｢織ちゃん！｣
私の不安を他所に、
会いたかった人たちが来てくれた。
｢師匠…？虎南さん、きょもさんまで…｣
私は履物も履かずに師匠に抱きついた。
はしたないとは思う。
礼儀の｢れ｣の字も無い。
でも今は、そんなこと、どうでも良い。
｢会えて良かった、織…｣
王宮に入ったら、
もう二度と会えないと思ってた。
王族と、女人村は
あまり干渉しないのが暗黙の了解。
下手に私が女人村に行けば
師匠たちに迷惑がかかると思っていた。
今も、そう思う心はある。
それでも…
それでも、やっぱり会いたかったし、
こうして会いに来てくれたことが
本当に嬉しかった。
｢世子嬪様、もうすぐしたら
女官たちが仕事を始めます。その前に中へ｣
確かに、今の状況を誰かに見られると
また変な噂を流されかねない。
師匠たちの着ている服が女人村の服だということは
きっと王宮の誰でもわかってしまう。
｢師匠たち、中へ入ってください。
えりかさん、まりるさん、
お茶の用意をお願いします。
アランさん、師匠たちを連れて来てくださり
ありがとうございました｣
｢いえ。門番を関汰と凛空に任せているので
自分は持ち場に戻ります｣
｢本当に、ありがとうございました｣
今日の門番が彼らで良かった。
関汰さんと、凛空さんなら
敵になることは無いでしょう…
正直、油断はできないけれど…
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