80、それぞれの役割(虎南視点) ページ33
｢虎南！聖水！！｣
｢はい！｣
｢きょも！結界！！｣
｢もうすぐ完成する！｣
私たちも慣れたものだと思う。
初めてのときは、こんなにテキパキと
動くことはできなかった。
初めの頃は本当に段取りが悪くて、
そのせいで織ちゃんが
危険な状況になることもあった。
それから、何年経ったかな？
もう誰も失敗しないし、段取りも完璧。
全員が、それぞれの役割を
的確なときに実行できている。
織ちゃんのおかげで
成長できたことは、たくさんある。
きっと、織ちゃんがいなければ
いつも聖水は持ち歩いてなかっただろうし、
きょもが、こんなにも早く
一人で結界を作れるようになることも
無かったんじゃないかな。
よーちゃんが、どんなときも冷静に
正しい判断と指示をしてくれることだって。
｢結界、できたよ｣
｢本当に綺麗な結界だね。さすが、きょも｣
細い糸で丁寧に編まれたような結界は
きょもにしか作れないもの。
私が作ろうとすると、どこかが絡まったり、
弛んで穴ができていたり…
ちなみに、よーちゃんだと、
丁寧だし、綺麗だけど
他に役割があるから、あまり結界は作らない。
というか、作れない。
｢よーちゃん、織ちゃんは？｣
｢この様子だと、目を覚ますのは七日後かな｣
｢ぐっすりだもんね｣
よーちゃんは、神力のお医者さんのような人。
どれぐらい消費して、
それが、どれぐらいで回復するのか、
回復するまでに何をしなければならないのか、
それらを見極めて伝えてくれる。
私にも、きょもにも、できないこと。
巫女様でも難しいことを
よーちゃんはできる。
あまり表には出ていないけど
女人村の中で、一番すごい人だと思う。
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