花は咲き乱れて-外伝-(2) (ページ31)

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78、繋がり(真咲視点) ページ31

｢あ、ごめん。
世子嬪用の輿を持ってくるん忘れた｣

｢わざとなのが見え見えですよ、王様｣

相変わらずの健水くんに対する姿勢。

もう誰もヒヤヒヤしてない時点で
織に毒されたんだろうなぁ…

健水くんも注意する様子ないし。

｢帰りましょう、世子様｣

｢そうだな｣

俺は織の手を取り、
また同じ馬に乗った。

行きよりも、かなり多い人数で
王宮へと急いだ。

思っていた以上に時間がかかったし
大事になってしまった。

帰ったら政務に追われる日々かぁ…

覚悟しないと。

王宮までの道のりは国民がたくさんいて
織は最後まで笑顔を絶やさなかった。

国民を慈しむ心。

いずれ王妃になるには
十分過ぎるほどの振る舞いだった。

織が王妃なら
俺だけじゃなく、貴族や国民も安心できるだろう。

王宮に着くと、女官だけじゃなく
王妃様も母上も待っていた。

この二人が並んでいるのを見るのは
まだ慣れないし、二人の関係もぎこちない。

それでもお互い干渉し過ぎず、
無関心にもならず、今の関係を保っている。

二人を見ると安心はしないけど
不安にはならない、よくわからない気持ちになる。

｢ただいま戻りました、王妃様、義母上様｣

｢ご苦労さま。国のために、ありがとう｣

｢立派ですよ、世子嬪｣

｢ありがとうございます｣

二人を上手く繋ぎ止めているのは
どう見ても俺や健水くんではなく、織だった。

織は、これからもこうやって
たくさんの人を繋いでいくんだろうな。