花は咲き乱れて-外伝-(2) (ページ20)

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67、母と娘(真咲視点) ページ20

｢見てられなくて来ちゃったじゃない｣

そう言って微笑む姿は、織じゃなくて
紛れもなく、死んだはずの、咲だった。

｢咲…あぁ、咲…
ずっと、待っていたのよ…｣

咲は母さんの手を優しく握り、

｢母上、ずっと会いに来ることができず、
申し訳ございません。そして、その間、
涼真のことを気にかけてくださり、
ありがとうございました｣

｢私にとって、たった一人の幼い孫だもの…｣

｢はい｣

愛おしそうに、咲の頬に触れる母さん。

こんな姿を見たのは、何年ぶりだろうか…

咲が側室になる前よりも
もっと、もっと前だと思う。

咲から母さんに触れることはあっても
逆は、少なかった気がする。

｢母上。涼真は、もう大丈夫です｣

｢本当…？あなたがいなくなって、
王女が生まれて、王子様の居場所が
どんどん少なくなっていった…
だから私にできることをしようと…｣

｢存じております。
確かに、涼真にとって苦しい時期もありましたが
今は真咲…世子様がいて、世子嬪様がおります。
彼らが涼真を守ってくださいます。
だから、ご安心ください。母上｣

母さんは、ほとんど開いていない瞳から
涙を零した。

｢私は、母上をお迎えにあがりました。
心穏やかに、共に過ごしましょう。母上｣

｢そう、ね…これからは咲と、一緒に…｣

母さんは、それ以上、何も言わなかった。

｢母さん…？｣

｢大丈夫。呪いを解いてから眠りについたから｣

母さんは、満ち足りた表情で眠っていた。