今日:9 hit、昨日:17 hit、合計:2,856 hit
小｜中｜大
66、泣き虫(真咲視点) ページ19
荒れていても、育った家。
見た目が変わっていても
どこに何があるかぐらいは
すぐにわかる。
もちろん、母さんがいる場所も…
｢真咲、か…｣
｢母さん…｣
数年ぶりに見る母さんは
生きていることを不思議に思うほど窶れていた。
咲が綺麗に櫛を通していた母さんの髪は
一本も残っていない。
｢…｣
その姿を見て、後悔しかなかった。
もっと、気にかけていたら、会いに来ていたら…
そしたら…
そしたら、もっと…
後悔と、いろんな感情が複雑に混じり合って
涙が止まらなかった。
後悔してばかりだ。
咲が側室になってから後悔しないことがない。
あれから、何も成長できていない。
自分が無力なのを痛感するだけで
何も、何も変わっていない…
｢なんで…｣
なんで、ここにいるのが、俺なんだろう…
ここにいるのが俺じゃなくて、咲なら
こんなことにならずに済んでいたのに…
なんで俺が生きていて、咲が…
どうして神様は、俺を…
｢あらあら…
いつの間に、こんなに泣き虫になったの？｣
え…？
この、声…
｢真咲。泣いてる場合じゃないでしょう？｣
間違えるはずがない。
間違えるもんか。
だって、この声、服装、チョプチを付けて、
チョンモリという髪型…
｢真咲？｣
｢咲…｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
