58、罪(真咲視点) ページ11
「なんでや!
なんで、こんなに知れ渡ってんねん!」
「王様、落ち着いてください」
どこかから情報が漏れ、
世子嬪が神の子であること、
神の子を神の元へ帰せば…ということまで
知れ渡ってしまった。
重臣たちだけでなく、
国民までとなると情報の回りが早すぎる。
一体、どうして…
「王様、失礼いたします」
俺たちの元へ来たのは、アランと関汰と凛空。
「王様、世子様。国中にこのような紙が」
机に置かれた紙には
世子嬪が神の子であること、
王宮内で呪いが蔓延していること、
それをどうにかするには世子嬪を神の元へ帰すと…
「誰だ…」
「王様?」
「誰や!こんな貼り紙をしたんは!」
かなり怒っている。
こんなに怒ってる健水くん、初めて見た…
「恐れながら申し上げます」
アランが発言した。
「本日、早朝に世子嬪様の元へ
お客様がお見えになっているのですが
服装からして女人村の方々だと思います。
早朝に女人村の者が、村の外へ出るということは
ありえないことだと思います。ですが、
そうしてでも世子嬪様に会う必要があったのでは…」
アランの言葉から想像できるのは…
「女人村が世子嬪様を脅かしている…」
「俺はそうだと思ってるよ、関汰」
「え、でもそれって、女人村が王族に
楯突いたってことでしょ?
謀反とか、反逆罪とかになるんじゃ…」
凛空の言う通りだ。
これは一方的に名誉を傷つけた。
何の罪にもならない方が、おかしい。
「それは、そうやねんけど、
そう簡単にはいかへん」
「何故ですか?王様。
これ程のことをしているのに…」
「女人村には信者が多いからな。
下手なことできひんねん」
「だからって、野放しにするんですか!?」
凛空の声が響いた。
大声を出したい気持ちは、よくわかる。
でも、大声を出したところで
何も変わらない。
一体、どうしたら…
「王様、失礼いたします」
「カナエ、どうしたん?」
「重臣たちが会議の場へ集まっております。
いかがいたしましょうか?」
「…すぐに会議を始める」
いつになったら彼女は平穏に過ごせるんだろう…
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