9、名前 ページ10
翌日、学校へ行くと
「吉良さん、怪我したんだって!?
大丈夫だった!?」
って、確か…
柚希くんが心配して声をかけてくれた。
「膝を擦りむいただけなので大丈夫です」
「そっかぁ…良かったぁ…」
と、心底、安堵した様子。
そんなに、か弱く見えてるの?私。
「ところで、なんで知ってるんですか?」
盛大に転んだところなんて
誰であっても見られたくない。
クラスメイトに見られてたなんて聞いたら…
恥ずかしすぎる…
「雅くんと橙摩くんが教えてくれたんだよ」
「みっ…え、誰ですか?」
私の記憶の中に、そんな名前の人はいない。
クラス名簿にも、そんな名前は無かったはず。
「昨日、吉良さんにぶつかった2人。
俺らの部活の先輩なんだよ」
あー、あのお2人…
ものすごく謝られただけで
名前も学年もクラスも聞いてなかった。
まぁ、聞けるような時間なかったけど…
「放課後もう一度、
ちゃんと謝りたいって言ってたけど
吉良さん、今日、何か予定ある?」
「今日…」
病院も土曜日に行くことになったし…
家族にはメールしたら良いし…
「特に予定は無いので大丈夫です」
「わかった。2人に伝えとくね」
待って。
あの2人を知っているのなら…
「あの!」
自席に戻ろうとした柚希くんを引き止めた。
「私を保健室まで連れて行ってくれた人、
名前とか、わかりますか?」
もしかしたら知ってるかもしれない。
2人が私に謝りたいように
私も彼にお礼を言いたい。
「あー、真咲くんのこと?」
「まさき…?」
「そう。紅竜真咲くん。
3年生で真咲くんも部活の先輩」
先輩だったんだ。
しかも、3年生…
やっぱり卒業するとき、告白したりするのかな…?
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