8、美男美女 ページ9
保健室まで
お姫様抱っこで運ばれた。
時々、すれ違う生徒の視線がつらかった…
でも、そこまで目立っていたようにも感じなかった。
日常茶飯事なのだろうか…？
それはそれで、どんな学校なんだろう、ここは…
｢保健室の先生いないけど
先に傷口を洗うぐらいはしておこう｣
また声と手話で話してくれた。
｢あとで、君の担任の先生が来ると思う｣
私の担任の先生まで把握されている。
そんなに噂になってるのかな…
やっぱり、耳が聞こえないっていうだけで
悪目立ちしてるのかな…
｢どうしたの？気分悪い？｣
私の気持ちを察してか、そう聞いてくれた。
“私、そんなに有名ですか？”
あえて声も、口も使わず、手話だけで聞いてみた。
“うちの学校、生徒が少ないからね。
どんな生徒がいるのかは、君に限らず、
すぐに知れ渡るんだ”
と、彼も手話だけで答えてくれた。
“ちなみに俺は君の担任の先生から聞いた。
耳の聞こえない子が転校してくるって。
だから頑張って手話を覚えた。
先生に手話を教えるために”
“どうしてですか？”
“ずっと好きなんだ。君の担任の先生のことが”
｢えっ…｣
思わず、声が漏れた。
生徒が、先生のことを好き？
“このことは俺と君の秘密ね”
そう言うと、
私の気づかない間に来ていた担任の先生と
彼が話し始めた。
きっと、私が転んだときのことを
説明してくれているんだと思う。
でも、私は、その説明よりも
彼の言ったことで頭の中がいっぱいだった。
生徒と先生ではあるけれど、お2人は美男美女。
担任の先生の雰囲気とかを考えると
恋してもおかしくはないだろうけど…
先生に恋をする…
高校では当たり前のことなのかな？
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