聴きたくて、聞きたくなくて (ページ6)

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5、初めてページ6

ドキドキした。

初めての通学路に、初めての学校。

初めての先生に、初めてのクラスメイト。

そして、初めての一目惚れ…

挨拶をしたときに見えた彼。

彼と目が合ったとき、思わず逸らしてしまうほど
ドキドキした。

これが恋なのだと、すぐにわかった。

中学を卒業して、別の高校に入学したけど
家の事情で転校することになった。

勉強は嫌いでも、苦手でもないから、
転入テストは難なくクリアできた。

でも、本当の試練は転入してから始まる。

彼は、どの休み時間も男子3人で過ごしていた。

仲良しなんだなぁと思う反面、
声をかけるハードルは、ものすごく高かった。

そもそも、私みたいなのが声をかけることだけでも
かなりハードルが高い。

周りの音が聞こえない分、
声をかけて良いタイミングなのかどうか
目で確かめるしかない。

1人でいるなら、わかりやすいけれど
2人以上となると、話の区切りがわからないから
どうしても声をかけるタイミングが掴めない。

下手に話しかけて、話を中断させたくないし、
中学生のときみたいなことにはなりたくない…

だから関わる人は最低限にしたい。

それが高校の目標だった。

そんな私の背中を女神様は押してくれているのか
一目惚れをした人とアドレスを交換できた。

葉崎アランくん。

私の最初で最後の実らせない恋。