49、ミドルネーム ページ50
関汰side
「あら、勢揃いね」
ちょうど写真を撮り終わったところに
きららちゃんのご両親が来た。
「ウィルが男の子に囲まれている…」
「ちょっと、パパ!」
きららちゃんが、ご両親に愛されているのが
ものすごく伝わってくる。
大事な大事な一人娘。
その彼女が才色兼備なのだから
余計、可愛くて可愛くて仕方がないんだと思う。
「ところで、きららちゃんって
なんで、ウィルって呼ばれてるの?」
橙摩くんが、きららちゃんに聞くと
「あ、私のミドルネームです」
と、サラッと答えた。
『えぇ!?』
「ちとせ・ウィルヴィア・吉良
これが私のフルネームです」
「とっても綺麗な名前だね!」
「ありがとうございます。偉舞喜先輩」
雅くんの言う通り。
本当に綺麗な名前…
彼女は、どこを切り取っても綺麗だ。
「パパ、ママ、話があるの」
にこやかな空気の中、彼女が遮った。
「なんだい?ウィル」
「私、ピアニストになりたい。
そのためにコンクールに出たい。
留学もしたい。そして、いつか
パパとママの楽団に首席で入りたい」
きららちゃんの言葉に
ご両親は驚いて、お互いを見つめ合った。
「簡単なことじゃないって、わかってる。
今以上に努力が必要なのも、わかってる。
だけど、どんなに苦しくても、つらくても、
この夢を叶えたい」
そう言う、きららちゃんの眼差しは真っ直ぐで
とても力強かった。
ご両親は、また見つめ合い、
同時に微笑んだ。
「ウィルが決めたことなら応援する。
手加減もしないからね?」
「ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします!」
自然と起こる拍手。
そして、本当に嬉しそうに
愛娘を抱きしめる、ご両親。
とても、とても、幸せな空間だった。
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