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47、触れる ページ48
アランside
｢アランは俺が撮るよ｣
俺は凛空にカメラを渡し、
きららちゃんの前に立った。
そして、そこまで全員がしてきたように
片膝をついて、彼女に手を差し出した。
明らかに動揺している彼女。
さっき、カメラのレンズ越しからでもわかった。
たぶん、関汰の気持ちに気づいたんだ。
それに動揺してる。
｢あー、凛空。ちょっと待って｣
｢んー？どうしたー？｣
｢きららちゃんの髪飾りが
ちょっとズレてるから直すよ｣
｢えっ｣
俺の声に、やっと現実に戻ってきたみたい。
とりあえず、口実とした髪飾りを
良い具合に整えながら
｢大丈夫、大丈夫。
今は、まだ考えないで｣
きららちゃんにだけ聞こえるように
そう呟いたつもりだけど
きららちゃんに聞こえてたかな？
｢よし。OK｣
｢ありがとう、葉崎くん｣
ちゃんと聞こえてたみたい。
良かった。
｢どういたしまして｣
俺としかアドレス交換をしなかった、きららちゃん。
たぶん今も、俺のアドレスしか知らない。
俺は出会う前の彼女は知らない。
でも、出会ってからの彼女なら
なんとなくは、わかる。
彼女は、いつも、どこか一歩引いている。
輪の中にいるようで、いない。
それが彼女の意思だということは
冬休みに入る直前に気づいた。
だけど、今は言わない。
これ以上、動揺させちゃいけない。
今日は彼女の晴れ舞台なんだ。
笑顔で今日を終えて欲しい。
｢じゃあ、はい｣
差し出した手に
彼女の手が重なる。
細くて、白く、綺麗な手。
少し安心したような笑顔に、俺も安心した。
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