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4、内緒 ページ5
アランside
｢いつの間に！？｣
｢皆さん、部活中やアルバイトなどで
早々に教室を出て行きましたよ？｣
｢気づかなかった…｣
本当に聞こえないのだろうか？
それが嘘みたいに、普通に会話ができている。
不思議なほど、普通に…
｢えっと、アドレス交換だよね？
どうしたら良い？｣
彼女は慣れた手つきで
自分のアドレスを見せてくれた。
俺は、それを見ながらアドレスを登録し、
彼女にメールを送った。
それが届いた証拠に
｢アラン…｣
と、彼女が呟いた。
その声を聞いたとき、ドキッとした。
初めて、異性に名前を呼ばれた訳でもないのに
何故か一瞬、ドキッとした。
でも、その一瞬だけだった。
きっと、驚いただけで
特に大きな意味は無いのだろうと思う。
｢…メール？｣
まさか、この距離でメールが返ってくるとは。
“吉良ちとせです。
私たちがアドレスを交換したことは
内緒でお願いします。”
すごく丁寧なメールだけど…
｢内緒？｣
｢連絡できる人は最低限に留めておきたいんです｣
｢そうなんだ…わかった｣
彼女は声と手話で、
｢ありがとう｣
と言うと、荷物を持って教室を出て行った。
｢内緒か…｣
なんとなく、罪悪感がある…
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