聴きたくて、聞きたくなくて (ページ39)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:3,199 hit

38、制服ページ39

アランside

結局、着ていくものに困って
全員、制服姿なのは笑った。

｢みんな制服やん｣

って橙摩くんが笑うと

｢以心伝心ってやつ？｣

って雅くんが返した。

｢そうかもね｣

それを見ていた真咲くんが優しく頷く。

どこにいても変わらない光景、そして空気。

制服姿のせいか、いつもの学校と同じ感じ。

今日の演奏会のお客さんの中にも
制服姿の人がいたから
それほど存在が浮くことなく中に入れた。

不思議なのは席と席の間に
間隔が空けられていたこと。

季節的にインフル対策か？

｢とりあえず、この辺にします？｣

6人が横並びで座れたのは
ちょうど、真ん中。

｢すごい特等席感ない？｣

｢だって、これがコンクールとかだったら
審査員席になるような場所でしょ？｣

｢余計、緊張するようなこと言わないでよ！｣

凛空が変に、いや、関汰もか。

変に緊張してるらしく、ソワソワしてた。

俺はソワソワというより、ワクワクしてる。

こうやって演奏会に来るなんて
初めての経験だし、何よりクラスメイトの晴れ姿を
見ることができるなんて光栄だ。

開演合図のブザーが鳴り、
ザワザワしていたのが、一気に静まり返った。

照明も舞台上だけ。

いよいよ、始まるんだ。