聴きたくて、聞きたくなくて (ページ31)

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30、終業式の日ページ31

アランside

早く学校が終わったけれど、
俺たちは音楽室に集まっていた。

｢ねぇ、冬休みの日数と宿題の量が
割に合わないのはどうして？｣

｢そんなの俺だって聞きたい｣

明日から冬休みだけど、
宿題の量の多さに絶望する俺たち。

｢でも、まぁ、提出は最初の授業とかだし、
なんとかなるでしょ｣

｢なんとかなるじゃなくて、
なんとかしないと大学受験に響くぞー｣

｢真咲くん、怖いこと言わんといてーな！｣

｢でも事実じゃん｣

場所が違うだけで、俺たちが集まれば、
どこだって、いつもと同じ空気になる。

｢すいません！遅れました！｣

音楽室の扉を勢い良く開けて入ってきたのは
他の誰でもない、きららちゃんだったんだけど…

｢えっ、補聴器！？｣

関汰の、その濁りのない言葉に
一瞬、凛空が身構えた気がした。

真咲くんは嬉しそうに微笑んでいる。

なんだろう、この温度差は…

｢今日から補聴器を使おうと思いまして｣

『おぉ！！！！！！』

盛り上がり方は、いつもと同じ…？

じゃあ、さっきのは、俺の気のせい？