聴きたくて、聞きたくなくて (ページ18)

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17、ついページ18

1人でショッピングモールをウロウロしていた。

特に欲しいものがあるわけでも
見たいものがある訳でもない。

ただ、音の溢れている場所にいたかった。

普段、音のない世界にいる私にとって
唯一、気兼ねなく音が聞ける場所。

誰も私に注目しない。

知っている人と会うことなんて
ほとんどない。

だから、油断してたんだと思う。

｢きららちゃーん！｣

と、声が聞こえた。

そして、つい、振り返ってしまった。

それが、英城くんの声だとも気づかずに。

彼と目が合った。

それほど、大きな声じゃなかったと思う。

それでも、つい、条件反射で振り返ってしまった。

｢英城、くん…？｣

｢偶然、だね…｣

こうなってしまった以上、
逃げたって、慌てたって、仕方がない。

｢英城くん、少し、お時間良いですか？｣

｢うん｣

もう少し、バレないようにするつもりだったのに
爪が甘かった。