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14、ありがとう ページ15
その日以降、彼らは必ず
私に声をかけてくれるようになった。
お願いしたわけでも、
彼らが無理をしている訳でもない。
何故か、日課になっているみたい。
最初は気を使わせてるんじゃないかって
ものすごく不安だったけど
だんだん、そうじゃないと思えるようになった。
と言うよりかは
思わせないようにしてくれた。
トントン
“おはよう”
“おはようございます、橙摩先輩”
“おはよう！”
“おはようございます、雅先輩”
こうやって、簡単な手話で話しかけてくれる。
その風景が馴染んできて、
たまにクラスメイトも手話で挨拶してくれる。
学校の中で、手話が浮かなくなった。
先生たちも手話を覚えてくれていたり、
手話を教えて欲しいと言ってくれたり、
少しずつ、手話の繋がりが増えてきた。
それが、すごく嬉しくて、尊さを感じた。
こんな風に手話に興味を持ってくれたら
生きやすくなる人が、ほんの少しでも
増える気がするから。
聞こえないことを憎むことだってあった。
どうして周りと違うの？って
泣いて、泣いて、泣いた。
その頃の自分に言ってあげたい。
未来の私のために苦しんでくれて、
ありがとうって。
当時の私には嫌味にしか聞こえないだろうけど
でも苦しんだ時間があったから
今が、より一層、幸せなんだと思う。
苦しんだ分だけ、幸せがある。
やっと、そう思えるようになった。
だから、ありがとうって伝えたい。
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