聴きたくて、聞きたくなくて (ページ12)

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11、放課後ページ12

放課後、教室で待機。

親には連絡したから大丈夫。

あんまり遅くならないようにしないと。

トントン

とされて、そっちを向くと
柚希くん、葉崎くん、英城くん、
紅竜先輩と、昨日の二人。

『昨日は、ごめんなさい！！』

目が合って早々、お二人にそう言われた。

｢もう謝らないでください。
私、気にしていませんから｣

って声だけで伝えると

“怪我の具合、どう？”

と、紅竜先輩が手話だけで話しかけてくれた。

“そんなに心配される程の怪我じゃないですよ？”

“それでも怪我は怪我。
心配するのは当然でしょ”

“お気遣い、ありがとうございます”

その様子を見ていた他の方々が
ポカーン…としている。

そこからは紅竜先輩に集中攻撃。

たぶん、なんで手話ができるのかと
問い詰められているんだと思う。

たぶん…

こうして、周りが楽しそうにしていても
私は中に入れない。

入っているように見えたとしても
声が聞こえないから、それ以上、入りようがない。

こういうとき、補聴器を使えば…と思う。

でも、また聞きたくないことを聞いてしまったら…

そう思うと、結局、今のままで終わってしまう。

一歩を踏み出すのが、ものすごく怖い。

きっと、これからも、その気持ちは
変わらないと思う。