49、偏見と優しさ(アラン視点) ページ50
「アラン!
寿命縮むかと思ったじゃんか!!!」
花嬪様の部屋を出てすぐに
関汰に怒られた。
自分でも、ちょっとどうかしてたかもしれない。
元々、人との距離が近いとは言われていたけど
まさか、花嬪様という王様の側室様にも
似た距離感で近づいてしまうとは…
「反省してる…」
「花嬪様がお優しい方で良かったよ。
お噂通りの方だったね」
王族って、もっと気高い人たちだと思ってた。
権力のある人たちに良い思い出が無いから余計に。
自分でも悪い偏見だと思っていたけど
それを見事に払拭してくれた花嬪様。
もちろん、王様も王妃様も良い人たちだった。
でも、権力のせいなのか、妊婦さんだからなのか、
そこはわからないのだけど、
やっぱり花嬪様の白さは異常だった。
あれは色白ではなく、病的白さ…
誰も、気付いてないのかな…?
「それにしても、王様も王妃様も
護衛になった俺たちに早々、
花嬪様の元へ挨拶に行けって変わってるよね?」
「確かに。花嬪様が言い出したことにしても
わざわざ挨拶に行かせたりするかな?
俺たちは花嬪様ではなく、王妃様付きなのに」
「それだけ仲が良いってこと?」
それだけの理由で、こんなことするのか?
王族の方々の考えてることがわからない…
「関汰〜!凛空〜!アラーン!」
三人で歩いているところに
前から俺たちを呼んだのは雅くんだった。
「お疲れ様です!」
「お疲れ〜。花嬪様に会ってたん?」
「そうです!お優しい方でした」
「ほんまに優しい人なんよ。お仕えできて嬉しい!」
ものすごく嬉しそうにしてる雅くん。
誰かに仕えてて、こんなに笑えるって幸せだろうな。
「って、俺急いでたんやった!
早く花嬪様のところに行かな!それじゃ!」
って、颯爽と去って行った。
雅くんが、あんなに慌ててるって珍しいな…
何かあったのかな?
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