40、予想外(健水視点) ページ41
「王様、あんまりではございませんか」
集まって早々に発言したのは
花嬪の父、右賛成(ウチャンソン)やった。
「花嬪様が身篭っておられるお子様は
王子ではなく、姫を望まれておられるなんて…」
そんなことないって言いたいけど
俺の発言や、今回の事件のせいで言われへん。
情けない…
「王室の将来を願うなら
王子を望むのが妥当でしょう。
しかしながら、姫を望むとは…
やはり王様は花嬪様を愛されていないのですか…」
「右賛成、言葉が過ぎるぞ!」
反論したのは、かなの父、左議政(チャウィジョン)。
「ですが花嬪様が王妃様と比べ愛されていないのは
王宮内の皆が知っていることではありませんか。
その証拠に王様が花嬪様の元を訪れるのも
王妃様へよりも遥かに数が少ない。
これ以上の事実が他にありましょうか?」
左議政は、それ以上、何も言われへんくなった。
どう考えても、被害者は花嬪。
大事な娘が危険な目にあってんから
父親として、黙ってられるわけがない。
「しかも王様、札の効力は、お腹の子を
姫に変えるものだというではありませんか。
これで本当にお生まれになるのが王子ではなく、
姫だったら、どうなさるおつもりですか」
俺が王位の座に着いてから数年経ってる。
そろそろ世継ぎがおらな、まずいのはわかる。
でも、そんな簡単にできるもんちゃうし、
こればっかりはなんとも…
「王様は、これ以上、
側室はお迎えしないと伺っております。
私共は、そのご意見を尊重しております。
ですが、このままでは、この国が滅んでしまいます。
そんなこと、あってはならぬことです。王様」
それは、そうやねんけど…
わかるねんけど…
でも、だからってさ…
「王様!」
俺が頭を抱え始めたと同時に
ものすごい勢いで、真咲たちが会議に乗り込んできた。
「王様の御前で、無礼だぞ!」
「左議政、まずは真咲たちの話を聞こう」
左議政を宥め、真咲に話して良いよと合図した。
「王様。犯人が見つかりました」
「ほんま!?」
あかん。つい、いつもの話し方が…
「犯人は一体、誰なのだ!」
右賛成がすぐに食いついてくれたから
俺の話し方は指摘されずに済んだ。
「それが…」
真咲は、そこからの言葉を渋った。
「真咲?」
「大変、申し上げにくいのですが…」
「早く話さぬか!」
右賛成が、真咲の言葉を急かす。
そして、やっと出てきた言葉は
予想外のものやった。
「…王様付きの女官です…王様…」
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