26、内密に(かな視点) ページ27
花嬪の妊娠が公になってから
「すごいですね…」
「どこに行くにも護衛がいますよ」
本来なら王宮内を歩くとき
本人が希望しなければ
後ろを女官たちが付いて歩く。
だいたい6人ぐらいが後ろに続く。
花嬪にはそれに加えて護衛が二人以上付く。
確かに完全なる安全は保証できない。
王宮に多くの兵がいたとしても
それらを掻い潜って侵入する者もいる。
そんなこと滅多に無いけれど…
それでも、あそこまでする必要があるのだろうか?
「良いんですか?花嬪様を好きにさせて」
と怒り気味に怜が言った。
「良いも、良くないも、健水が許可してるし、
下手に私が口を出すと大妃様や
太陽派の重臣たちが何かしてくるでしょ。
そうなると王宮内が荒れる」
「そうかもしれませんが、これは、いくらなんでも…」
「そんなことより気になるのが…」
「なんですか?」
怜の怒りを別方向へ向けるため話題を変えた。
それにカナエが興味を持つ。
いつもの会話の流れだ。
「護衛の一人、花嬪の双子の弟よね?」
「そうやって、聞いてますよ?」
「双子というより、姉と弟にしては
雰囲気が違う気がする…」
「私も同じことを思っていました。
あと他の女官たちで噂になっていることが…」
「なんなん??」
「大妃様が異様に花嬪様の護衛隊長を気にしているとか…」
「何故?」
「それが、わからないんですよ。
でも突然、花嬪になった咲様と
王宮に仕えてすぐ護衛隊長になった真咲…
気になりませんか?」
「そうね…」
そう言えば、健水も、そのことを気にしてた…
これは何かあるかも…
「カナエ、怜」
『はい、王妃様』
「花嬪と真咲について内密に調べて。
くれぐれも大妃様たちに気づかれないように」
『承知致しました』
花嬪が悪い子だとも、何か画策してるとも思えない。
でも、周りはどうかわからない。
油断してはいけない。
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