10、結ばれない(エミ視点) ページ11
「ねぇ、本気?」
「本気だよ。どんな職業でも選べるように
今までを頑張ってきたんだから」
「それは、前々から聞いてたけど…」
咲が側室になることが決まり
いろいろ慌ただしく動き出す前。
私は真咲に呼び出されていた。
「でも咲に、このことは内緒。
咲に言ったら反対されるだろうし」
「わかってるなら、別の道を選びなよ。
わざわざ護衛にならなくたって
咲のことを守ることはできるじゃん」
真咲の家なら、王族に仕えるためなら
兵士にならなくたって他にいくらでも道がある。
真咲のお父さんみたいに、
議政府(ウィジョンブ)に加われたと思う。
※議政府→全ての役人を総括する国の最高官庁。
それが無理だったとしても何か官職になれたと思う。
なのに護衛…兵士の道を選んだ。
何かあれば命に変えても主人を守らなければならない。
あまり治安の良くない、この国で
生と死を一番近くに感じる仕事だと思う。
「俺にはこれしかないって思ったし、
王様がそれなりの役職を与えてくださるから
そこに甘えようかと」
なんて笑って言う真咲。
「王様が王様になる前からの友達だからって
それは良くないんじゃない?」
そういうのって職権乱用とかになると思うんだけど。
「いや。お互いに利害が一致してるから問題なし」
「はぁ…」
これは何を言ってもダメだ。
真咲がずっと咲に恋心を抱いているのは
出会った頃から知ってる。
だから、どうしても
咲と離れたくないんだと思う。
でも、そもそも二人は姉と弟。
どうしたって、結ばれない運命。
それでも、このことが知られれば
真咲も咲も、どんな目にあうか
わからない。
王様の女に想いを抱くのは大罪。
真咲だって、そのこと、わかってるはずなのに…
いつまで、この二人を
見続けなければならないんだろう…
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