12、追い討ち(花嬪視点) ページ13
｢花嬪様、大丈夫ですか？｣
｢えっ｣
｢大妃様の部屋を出られてから
元気がないように思います｣
｢そんなことないわ。
ただ少し疲れただけよ｣
｢そうですか？｣
正直｢疲れた｣の一言ではないモヤモヤ。
私は大妃様の推薦で側室になった。
最終的に許可したのは王妃様だけど
そこから逃げなかったのは私の意思。
少しでも家族のために何かしたかった。
ただ、それだけなのに…
どうして、あんなことを…
｢花嬪様！｣
その声のする方を向くと父の姿があった。
｢どうですか？王宮での暮らしは｣
｢まだ1日ですよ？わかりません。
ですが父上に敬語を使われるのは慣れませんね｣
なんて笑って答えた。
｢いずれは慣れていただかないと。
花嬪様は王様の妻です。敬われるべきお方。
いずれは王様の子を身ごもるのですから｣
｢っ…｣
思わず言葉を失った。
大妃様にしても、父上にしても、
何故こうも平然とそんなことを口にするのだろう…
｢慣れない王宮の暮らしでは不安でしょう。
私から、ささやかな贈り物です｣
｢贈り物？｣
｢きっと、お部屋に戻れば、すでに届いていますよ｣
｢そう、ですか…では、私は部屋に戻ります｣
｢はい。足止めをして申し訳ございません｣
｢いえ｣
父上から私への贈り物？
一体、何を？
それが、何なのか考えながら部屋に戻った。
すると、そこには見慣れた人がいた。
兵士の格好をして、凛々しく、その場に立っている。
｢真咲…｣
｢花嬪様｣
もう、あの頃のように名前では呼んでもらえない。
それはわかってた。
でも、どうして兵士になんて…
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