Ballad of the Phantom 2nd

55、宙視点 ページ5

麗｢悪い言い方をすると、復讐ね｣

宙｢え…｣

姉さんが、復讐…？

確かに、そんなことを考えてしまうようなことは
今までたくさんあったと思うけど…でも…

麗｢大丈夫よ、暴君にはならない。
今はただ、常識を変えたいだけよ｣

宙｢常識を、変える？｣

麗｢まずは私が女王になる。
そして女性が王座に着くことを当然にするの。
能力に応じて報われる世の中を作るのよ｣

宙｢それが、どうして復讐になるの…？｣

姉さんの言ってることは
別に復讐ってわけではなさそうだし…

むしろ良いことを言ってると思うんだけど…

麗｢女王になったらすぐに
叔父様を広場で八つ裂きの刑にする｣

宙｢っ…!!!｣

八つ裂きの刑は、この国で最も重い刑。

被処刑者の四肢を牛や馬などに結びつけ
それらを異なる方向に前進させることで
肉体を引き裂くもの…

過去にこれを執行されたことは無いと聞いてるけど…

麗｢王族を欺くとどうなるのか、
悪いことは償わなければならないことを
国民に見せつけるのよ。もちろん世界にもね｣

宙｢で、でも、それは、いくらなんでも…｣

麗｢ここまでしないと私の気が済まない。
本当は王様にも罰を与えたいのだけど
それは、さすがに良くないから譲位で許した｣


この人…

本当に、恐ろしい人かもしれない…


麗｢きっと私の代で王座は血に染まる。
でもそれは先代の王様たちが中途半端にしたことを
今、正すために仕方ないこと。だから革命なんて
綺麗な言い方はしない。これは復讐よ、先祖への｣



でも…

そういうところに惹かれてしまうのは
麗という人に毒されたからだろうか。

麗｢幻滅した？｣

黒く笑う姉さんも、とても魅力的だ。

宙｢ううん。むしろ好感度上がった｣

麗｢本当に面白いわね、宙くんは｣

そう笑う彼女の背後に黒い神が見えた気がした。

でも、それは彼女を襲うものじゃない。

彼女の持つ力だと思う。

麗｢でも、このことは私たちの秘密。
健水にも言っちゃだめよ？｣

宙｢もちろん。計画は最後まで貫かなきゃ｣

麗｢健水が、この国の王になる前に
汚れ仕事は私で終わらせる。そのつもりよ｣

宙｢姉さんは本当に兄さんが好きなんだね｣

麗｢えぇ。とっても。
私に宙くんのような弟まで与えてくれたのよ。
そろそろ私の運命にお礼をしなくちゃね。笑｣

姉さんは、兄さんのために自らの手を汚す。

それを拭うのは、僕の仕事だ。

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