Ballad of the Phantom 2nd

63、健水視点 ページ13

麗は
ほんまに見せしめをした。

両手、両足をそれぞれ牛に繋げ
同時に歩かせ、体を引きちぎった。

広場には、叫び声が響き渡り、
血の匂いは何日も残ったらしい。

ほんまに、そこまでせな、あかんかったんか？

ほんまにこれが正しかったんか？

最初から最後まで刑を見届けた麗は
今、何を考えてるんやろう…


麗とは即位式から会ってない。

会いに行くべきなんやろうけど
そんな気になられへんくて
会って、なんて声をかければ良いんかもわからんくて
ずっと、政務をこなしてる。

これで、ええんかな…


宙｢姉さんのところ行ってきます｣

爽太郎｢いってらっしゃーい｣

毎週、毎週、麗のところへ行く宙。

最近、土産もらってこーへんけど
今も餌付けされてるんか？

餌付けされてないとしたら…？

何してるんやろ…

大弥｢健水くん？｣

気になる…

健水｢ちょっと出かけてくる！｣

真咲｢ちょっ、どこ行くんですか！｣


行先も告げず、部屋を飛び出して馬を走らせた。

考えるよりも聞いた方が早い。


これ以上、麗と会わへんとか無理や。

強がりで、責任感も強くて、誰よりも優しい麗が
あんな残酷なことして傷ついてないわけがない。

なんで、もっと早く気付かへんかってんやろ。

こんなんじゃ麗を不安にさせるだけや。

俺が麗の側におらへんなんて、おかしいやん。

ちゃんと支えな。

麗の笑顔を守るのは俺の役目や。

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