159話:不満 ページ9
数十分すると、風が少しやんだ。
また多分風が強くなるんだろうけれど、太宰がこれ以上変な気を起こさないように家に帰らそう。
体を起こして手を差し出した。
『行こう?』
「…」
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太宰さんの家に着くと、慣れたように中に入ってタオルを取った。
この家はしばらく暮らしていた記憶があるからよく知ってる。
玄関で彼の頭を拭いて、コートや簡単な上着は脱がせて代わりの服を着せた。
「…」
私は替えの服は無いため、バスタオルを羽織るようにしてできるだけ体を冷やさないようにした。
そして、太宰さんを座らせて、私はその前に座った。
『話して。どうしてこんなことしたのか』
面と向かってそう言った。
すると、太宰さんは顔を下に向けたまま少し話した。
「過去を…思い出して辛くなったんだ」
『…』
「今は人を救う立場に居るが、殺した人が多すぎて私は…自信が持てない」
「いつか、また自然と人を殺してしまうんじゃないか」と太宰さんはそう言った。
…太宰さんは元マフィア。
殺した人も多いらしく、過去はどんなのかはよくは知らない。
(…んー…)
でも、私はよく分からない。
どうしてそんなに過去を気にしているのか。
゙人を殺してしまうかもしれない゙
そのかもしれない運転、辞めたらいいのに。
「そう思うと、死んでしまいたくなる。本当に」
『…じゃぁいっそ、死んだらどうですか?』
「…」
私はどこか冷たくそう言った。
なんというか、太宰さんは焦れったくてそこは好きじゃない。
『と言うか、そんなにみんなと自分は違うと思うなら離れたらいいじゃない?
なのに離れないのはどうして?』
「…」
『苦しくなるのはわかった。死にたくなるのも分かる。
でも、殺すかも知れないことについては分からない。。』
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シグマざん(プロフ) - シアさん» コメントありがとうございます。了解しました (1月11日 0時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
シア - 江戸川乱歩オチも作っていただけませんか? (1月9日 7時) (レス) id: 5afea0a2a0 (このIDを非表示/違反報告)
シグマざん(プロフ) - 冬華さん» ありがとうございます!!ひとつの事に集中するのは苦手で更新は遅くなってしまいますがとても嬉しいです! (9月18日 16時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
冬華(プロフ) - 恋愛系の久しぶりに読むんですけど、話の展開に無理矢理感がなくて気持ちよく読めました!沢山の作品を同時に作ったり、アイデアを出せるシグマさん、尊敬します! (9月18日 14時) (レス) @page13 id: 62d80712bb (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - raiさん» 少しずつですが頑張ります。ありがとうございます (8月15日 14時) (レス) id: af73925dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//
作成日時:2022年9月27日 23時