54話:魅了 ページ4
『…返答によって僕を殺す？』
「はい。なので嘘はつかないでくださいね」
(まじか…)
マフィアらしくない、人助けなんかしなきゃよかった。
そう思いつつ大きくため息をついた。
『ポートマフィアだ』
「「！！」」
『流石にその反応は知ってるんだね』
そう言うと2人は分かりやすく警戒した。
殺気がひどく"敵対してる"とはすぐわかった。
(全く運がない)
「ゴーゴリさん！」
「だよね！異能力【外套】」
男性がそう言うとピエロの男はマントを開けた。
そこには足があり、何故か見たことがある。
(あれ？)
ふと顔を下に向けると自分の足が消えていた。
思わず『うわ』と言葉が出た。
「さぁーて此処で問題！！私の異能力はなんでしょうか！」
ピエロの彼はそう、場に合わない明るさで言葉を告げた。
僕が考え始めると共にヒントが言われた。
「ヒントはワープの異能力でーす！
あ！答えを言っちゃった！」
彼は面白おかしそうにそう言った。
いや、何も面白くない。
『何してるんですか。答える気満々だったのに…』
「えーっ、答える気だったの！？」
(自分でゲームを壊すなんてありえない)
「んー、じゃあ次の問題です！！」
彼はそう言った。
すると奪われていた足が帰ってきて、マントを見せないようにしてきた。
『…』
「次に、僕は何を出すでしょうか！」
そう言った瞬間に異能力の光が見えた。
それと同時に僕も異能力を使った。
『何も出さない』
「！？」
ふわりと髪が揺れ、隠れていた目が彼と目があった。
瞳の中にはハートマークの模様が刷り込まれ、マントを開けた彼は何も出さなかった。
(かかった。)
「ゴーゴリさん？」
「……」
『おいで』
僕は甘ったるい声で呼んだ。
声の変わりように驚いて男性が向くと共に、ピエロの彼は僕のそばに来た。
そして静かに抱きしめてきた。
(えっ…？甘える時静かｯｯ)
思わず驚いた。
さっきまであんな元気にクイズ!なんて言ってたのに…。
まるで猫のように頬を赤くして後ろから抱きしめてきた。
そんな中、僕の前には例の男性が立った。
「興味深い…あなたの異能力は？」
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作者名：シグマ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時：2023年5月2日 19時
