51話:出張 ページ1
ポートマフィアに帰ってこれたのは次の日の夜になっていた。
入口で着いてきた黒服達にお礼を言っては、まっすぐ首領室に入った。
コンコンコン…
『首領、主張から帰ってきた人です』
たったそれだけ言ってはドアを開けた。
ドアの中を見ると、そこには久しぶりに見た顔があった。
「お、帰ったかA」
『中也!』
いつも電話で会話していたおかげかなんだか出会えてとっても嬉しい。
中也は僕の方に来てはぎゅーっと抱きしめてくれて、僕も抱きしめ返した。
…初めて異能をかけた時から副作用は続いたまま。
だから中也はずっと僕に好意を抱いてくれている。
(でも、結構薄まったかなぁ)
ポンポン_と手を背中に叩くと中也は抱きつくのを辞めてくれた。
目が合って微笑むと、僕はそのまま森鴎外の方に歩いた。
「久しぶりだね、4年振りかな。A君」
『お久しぶりです。首領。残念ながら今回も避けましたよ』
「よく続くねぇ」
僕は人を殺さない。
人間なんかどーでもいいけど、人間を殺す権利なんかない。
だから、異能力を上手く使い避けている。
他人からの膨大な好意にたまに嫌気がさす時もあるけれど、知り合いからの好意はただただ嬉しい。
『報告書は明日渡します。今日は疲れたので眠りますね』
「嗚呼、待っているよ」
『じゃぁ、中也。行こう』
「そうだな」
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着いたのは僕の部屋だ。
中也は見送ってくれて、手を振って別れた。
前々ならきっと部屋まで押しかけて来たはずだけど、異能力の副作用が薄まってきたのだろう。
中に入ると相変わらず部屋は変わっておらず、4年も放置されていたので埃まみれだ。
どうして何もしてないのに埃が出来るんだろうな。
(ここで寝るのか…イヤだなぁ。)
仕方ない。
僕はどこかのホテルで寝よう。
明日は部屋の掃除から報告書を出してお休み。
なんて思いつつポートマフィアから出た。
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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/
作成日時:2023年5月2日 19時