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『どう?信じた?』


私がそう言うと谷崎は信じたみたいで「ありがとう」と丁寧にそう言ってくれた。
腕を戻してお茶をもう一口飲むと、谷崎は国木田の方に向かって歩き、何か話していた。


(太宰さん…来るかなぁ?)


ふと、そう思った。
私は太宰さんの記憶はある。

彼に触れられたら自分が消えちゃうこと。
数年前に何度も何度も触れられて自分が消されてご主人様を守れなかった。

…太宰さんに触れたら、こうやって自由に歩けなくなるのかな?

なんだかそう思うと会いたくない。
でも、ご主人様は会うことを望んでいて、私の意思なんて関係ない。

だって私は異能力だから。
普通は意思もないご主人様の命令に従って動く異能力。


『…』


(悲しいなぁ)


今日、何度も何度も悲しくなった。
今まではご主人様のそばにいて何にも思わなかったのに。

意志を持った途端なんだか心が空っぽになったようで冷たい。

異能が意志を持つ必要は無い。
いや、私は特に意志を持つ必要はない。


『…』


私がご主人様の元に戻る方法は何となくわかってる。
でも、それをご主人様がしてくれるわけない。
戻らなきゃならないのに、それが引っかかって戻れない。


(戻りたいけど、戻りたくない)


そう思って残ったお茶を見つめた。
黒いコートをまとった私の表情が移った。
薄く笑顔。

私は今、全てが複雑。

こうやって外に出れて嬉しいのに、ご主人様の傍に居れれない悲しさもある。
色んなことを思うけれど、結局何が言いたいのかわかんない。


(うぅ、考えて頭痛い…)


ふと、遠くから足音が聞こえた。
目線を向けるとある部屋のドアが開いた。


「思わず寝てしまったねェ…ん?」


医務室から探偵社の女医、与謝野が出て来た。
部屋内を見て彼女は目を丸くしていた。。

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シグマ(プロフ) - ペネロッペさん» 閲覧ありがとうございます!はい、少し更新停止です。大体半分くらい書けたので少し物語の整理をしてからまた書き進めたいな…と!ゆっくりになりますがよろしくお願いします! (2022年11月2日 4時) (レス) id: bd84de304f (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - サキさん» すみませんっ!気づかなくて返信遅れました。うふふ、どうなるかはこれからお楽しみ下さい。いつもありがとうございます! (2022年11月2日 4時) (レス) id: bd84de304f (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - こ…更新停止ですか……? (2022年11月1日 12時) (レス) @page27 id: 4e7520e5da (このIDを非表示/違反報告)
サキ(プロフ) - 来るなと拒絶して捨てるのはいいけど乱歩さんの話聞いてた芥川君とツッコミたいですね愛してあげて抱きしめないと無理と言われてたのに太宰さんや森さんに叱られかねん対応ですね (2022年10月25日 8時) (レス) id: 4d7646cafb (このIDを非表示/違反報告)
シグマ(プロフ) - サキさん» えへへ、ありがとうございます!凄く嬉しいッです!それに2回もコメントありがとう! (2022年10月15日 6時) (レス) id: bd84de304f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シグマ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp//  
作成日時:2022年9月24日 22時

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