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タワーの下、同じ穴の狢 ページ5

個人的に衝撃的だった逢川さんが喋ったときから、体感で十数分ほど歩いた。
 相変わらず逢川さんは眠たそうで、さっきよりはマシだがたまに木にぶつかりかけては私が救出している。放っておいたらいつか死にそうだな、この人。


 ようやく、タワーの真下あたりまで辿り着いた。

 真下から見上げると、余計に高く思えるな。何階くらいまであるのだろう。ここに誘拐犯がいるのだろうか。
 

「逢川さん。あの大きな木のところで待っていてくれませんか?少し周りを見て回ってくるので」
「……うん」


 逢川さんがその木の下に座ったのを見届けてから歩き始める。とりあえず、タワーの周りを一周してみよう。誰かいるかもしれない。
 
 そう思って歩き始め、大体半分くらい周っただろうか。タワーの入り口らしき自動ドアが見えた。なかなかに近代的な造りをしている。
 入り口の方に近寄ると、二人の人影が見えた。髪の長い女性と黒マスクを着けた男性だ。


「あの、すみません!もしかして、お二人も誘拐の被害者でしょうか……!」


 駆け寄って声をかけると、二人は驚いたように振り返った。そんなに影が薄かっただろうか、申し訳ない。
 始めは警戒心が丸出しだったが、私の姿を視認すると、それは少し柔らいだようだった。私がお二人と同じかそれ以下くらいの年齢だからだろうか。
 ……いやそれはちょろくないか?もっと警戒心を持って強く生きてほしい。


「その物言いを聞くに、君もボクらと同じ境遇ってことでいいかい?」
「えっと、その境遇というのが、"起きたらいきなり森の中だった"っていうのだったら、同じです」
「おお!良かったなザッくん!お仲間だぜ!」
「ああ、同じ状況の人間が見つかったのは大きな進歩だ」


 はしゃいだ様子の女性に、ザッくんと呼ばれた男性はクールに答える。……距離が遠くないか?
 話を聞くに、この二人も私と逢川さんと同じ状況下にあるらしい。……誘拐といっても、一体何人連れ去ったのか。大人数なら目的があるだろう。例えばその、人身売買とか。


「それじゃあ、とりあえず名前だけでも教え合おうか。ボクは路々森ユズ。そっちはザッく」
「忍霧ザクロだ」
「路々森さんに、忍霧さんですね。私は、鳴宮ヒナユリと言います。……ところで、お二人はここで何を?」


 ずっと気になっていたそれを尋ねると、二人は顔を見合わせた。そして、忍霧さんが神妙な顔で口を開く。



「俺達の共通点について、考えていたんだ」

本当にある失踪ゲーム→←介護と言って差し支えない



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kima(プロフ) - 海獣さん» コメントありがとうございます。続編はある程度書いてから投稿する予定なので、少し待たせてしまうことになると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。 (2022年10月22日 13時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
海獣(プロフ) - マジで最高でした!!続き楽しみに待ってます!! (2022年10月21日 23時) (レス) @page42 id: b62edcffd1 (このIDを非表示/違反報告)
kima(プロフ) - なーさんさん» コメントありがとうございます。とても励みになります。更新ペースがすごく遅いですが、投稿をやめる予定はないので、気長に待っていただけると嬉しいです。 (2022年8月22日 1時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん(プロフ) - 個人的にめちゃくちゃ好みです!!更新頑張ってください! (2022年8月21日 15時) (レス) id: 64a4afe500 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kima | 作成日時:2022年5月23日 9時

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