何がともあれご飯が美味しい ページ39
……鯖の味噌煮がとても美味しい。
これを作った人は天才じゃないか？いいお嫁さんになれると思う。
……もしかして、これを作ったのってパカさんだったりするんだろうか。流石に違う、と信じたいが。
第2ゲーム『取り換えこっくりさん』は、私達がよくわからないうちに終わっていた。
ゲーム終了の証である染色体は手に入ったが、なんだか不完全燃焼という感じだ。
……入出さんがあの少女に言ったことが、何かの引き金だったのだろうか。
いや、もしかしたらあの少女自体、パカさん立ち続ける運営にとってはイレギュラーだったのか。
その不具合を誤魔化すために、不自然とも言える手を打った、と。……考えすぎだろうか。
「……カリリンも、もうちょっとだけ早く起きとけば、ヒナヒナのご飯が食べられたのににゃー」
不意に聞こえてきた自分の名前に、不穏な思考も吹き飛んで目を向ける。
……自分の名前が他の人の話題に上がると、ちょっとドキっとする。
「ヒナユリさんの料理って、どうしてですか？」
「食券機が使えるのは今日からだからな。それまでヒナヒナが作ってたんだ。……いやあ、こうやって自慢したいくらい、美味しかったんだぜ？」
「ちょ、そんな言わないでくださいよ。食べたくなるじゃないですか」
そう褒めないで欲しい。照れるから。
そう視線を逸らして、定食を食べるのに集中すると、不意に路々森さんの視線がこちらに向いた。
……なんだか、嫌な予感がする。
「だってさ、ヒナヒナ。今度振舞ったらどうだい？」
「えっ、そんな我儘言えませんよ！？」
「………別にいいですよ。料理は好きですし」
「本当ですか！？」
「んじゃ、オレの分も」
「俺のもお願いします！」
「どんどん大所帯になっていくんですが……」
収集がつかなくなってきた。路々森さんもしれっと、じゃあボクのも、と言ってくるし。
……まあいいか。別に、減るものでもないし。
そう思い直して、食事に戻ろうとすると、不意に左手の袖口が引っ張られた。
視線を向けると、そこにはぼんやりとした逢川さんが。こうして見ると、この人はとても綺麗な目をしている。
「……僕も、ヒナユリちゃんの料理、食べたい」
「へ、」
唐突なそれに、思わず間抜けな声が漏れる。
すうっと透き通った菫色の瞳とかち合って、思わず緊張してしまう。……いや、それよりも微笑ましいな。
……これが、母性というやつなのだろうか。
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kima(プロフ) - 海獣さん» コメントありがとうございます。続編はある程度書いてから投稿する予定なので、少し待たせてしまうことになると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。 (2022年10月22日 13時) (
レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
海獣(プロフ) - マジで最高でした！！続き楽しみに待ってます！！ (2022年10月21日 23時) (レス) @page42 id: b62edcffd1 (このIDを非表示/違反報告)
kima(プロフ) - なーさんさん» コメントありがとうございます。とても励みになります。更新ペースがすごく遅いですが、投稿をやめる予定はないので、気長に待っていただけると嬉しいです。 (2022年8月22日 1時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん(プロフ) - 個人的にめちゃくちゃ好みです！！更新頑張ってください！ (2022年8月21日 15時) (レス) id: 64a4afe500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kima | 作成日時：2022年5月23日 9時
