人でなしのカウントダウン ページ36
いくら怖がりとは言っても、路々森さんが言ったようにホラーに詳しい更屋敷さんのおかげか、ゲームの滑り出しは上々だった。
十円玉に指を置いて、こっくりさんに呼びかけ、要求された物──『みず』を垂らした。
まあ更屋敷さんと思いがけず接近した忍霧さんが可哀想なことになっていたが、そこは割愛。
そして次に要求されたのが『ともだち』。
……これ、幽霊の(既に終了した)人生相談か？
──しかし、不穏になってきたのはこの後だった。
『──じゃあ、俺と友達になりませんか。俺、入出アカツキといいます』
『ばっ……！またあんたは！』
『OKもらいました！！』
……なんというか、入出さんはものすごく命知らずだな。命がいくつあっても足りないというか。
溜息を吐きたくなる入出さんの行動に、シアタールームの空気も生暖かくなる。
簡潔に言うと、何やってんだお前、みたいな。
そんな私達の心の内など知るよしもなく、入出さん達はゲームを続ける。
十円玉に指を置き、こっくりさんに呼びかけ──示されたのは、
『───あ、か、つ、き……？』
「……これ、不味いのでは」
いよいよホラー感が増してきたゲームに、入出さんの迂闊さも含めて、嫌な予感がした。
(眠っている逢川さんを除いて)他の皆さんも、こっくりさんからの不穏な要望に息を呑む。
……そうして、スクリーンの向こうの混乱と騒めきのなか───入出さんの身体が、まるで何かに引っ張られたように、尻餅をついた。
『ちょ、何してるのよ！？なんで指を……』
『ええと、今、何かに引っ張られて、っ……わっ！？』
──次の瞬間、入出さんは窓枠に座っていた。
安全装置も何もない、落ちたら即死ルート真っ逆さまの、窓枠だ。
そのままぐらりと身体を揺らす入出さんの異変に、駆堂さんが駆け寄っていくも、そのまま──
「……、」
入出さんは、窓の向こうに落ちていった。
……これは──いや、ひとまずはやることがある。
きっと、私にしかできないことで、私がやるべきと期待されていることだ。そこに私情は、必要ない。
───ああ、周りの喧騒が遠い。
数式の海に沈んでいく感覚というのは、こんなに寂しいものだったっけ。
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kima(プロフ) - 海獣さん» コメントありがとうございます。続編はある程度書いてから投稿する予定なので、少し待たせてしまうことになると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。 (2022年10月22日 13時) (
レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
海獣(プロフ) - マジで最高でした！！続き楽しみに待ってます！！ (2022年10月21日 23時) (レス) @page42 id: b62edcffd1 (このIDを非表示/違反報告)
kima(プロフ) - なーさんさん» コメントありがとうございます。とても励みになります。更新ペースがすごく遅いですが、投稿をやめる予定はないので、気長に待っていただけると嬉しいです。 (2022年8月22日 1時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん(プロフ) - 個人的にめちゃくちゃ好みです！！更新頑張ってください！ (2022年8月21日 15時) (レス) id: 64a4afe500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kima | 作成日時：2022年5月23日 9時
