信頼と信用の攻防戦 ページ25
「……まだ会っていない参加者のことなんですが」
皆さんが食べ終わった後。
コーヒーをちびちび飲んでいた私と路々森さん、ぐっすりと寝ている逢川さんだけが残った食堂で、思っていたことを言ってみる。
「何か気づいたのかい？」
「えっ、いやいや、そんな真面目ごとじゃないですよ。すごいイカつい名前の方がいたなあ、と」
「ああ、いたにゃー」
確か、鬼ヶ崎カイコクさん。
名前からして男性だろうが、いかんせん字面が仰々しくて記憶に残る。まるで戦国大名みたいだ。
「名前というと、他の二人は女性と男性ですかね。更屋敷カリンさんと、入出アカツキさん」
「イメージ的にはな。……名前でいったら、入出アカツキもなかなかじゃないか？」
「ああ、日本の日の出みたいな。御利益ありそうですよね」
「天照大御神とかにゃー」
私達がこんな話をしていると知ったら、入出さんはどう思うだろうか。気になる。
けれどまあ、ここまで笑い話をしていたところ申し訳ないが、ここからは真面目タイムである。
おどけるように笑っていた顔をおさめて、路々森さんと真っ直ぐに目を合わせる。
「話は変わるんですけど、真面目な話をしても良いですか？」
「構わないとも。君の意見ならば聞く価値がある」
「わあ嬉しい、高評価ですね。……それで本題なんですが。多分ここ、地下に空間があります」
しかも、タワー下だけじゃなく、島全体に。
昨日、一人で島を探索していて気付いたことだが、妙に足音が軽いのだ。
森の地面でも、街でも同じだ。普通ならもっと重厚な音がするはずなのに。
そして、これが決定的なことになるが。
側溝から、強すぎる風が吹いていた。あれだけ強いのなら、中にはかなり広い空間があるはず。
そこまで言うと、路々森さんは思案するように目を伏せた。
「何かの施設があるかもしれないな」
「そうですね。調べようがないですけど」
「ああ。……だがヒナヒナ。今後調査に行くなら、誰かに知らせるように。危ないからな」
「すみません、いざとなればパカさんが助けてくれるかなあ、と」
路々森さんは驚いたように目を見開いて、幾分か低い声でこう言った。
「……君はあれを、随分と信用しているんだな」
「運営だから、ですよ。ゲーム前に脱落なんて、興醒めがすぎる」
一番信用できて、側が一番安心できるのが加害者だなんて、なんて皮肉だろうか。
視界の端をちらついたアルパカが、笑った気がした。
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kima(プロフ) - 海獣さん» コメントありがとうございます。続編はある程度書いてから投稿する予定なので、少し待たせてしまうことになると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。 (2022年10月22日 13時) (
レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
海獣(プロフ) - マジで最高でした！！続き楽しみに待ってます！！ (2022年10月21日 23時) (レス) @page42 id: b62edcffd1 (このIDを非表示/違反報告)
kima(プロフ) - なーさんさん» コメントありがとうございます。とても励みになります。更新ペースがすごく遅いですが、投稿をやめる予定はないので、気長に待っていただけると嬉しいです。 (2022年8月22日 1時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん(プロフ) - 個人的にめちゃくちゃ好みです！！更新頑張ってください！ (2022年8月21日 15時) (レス) id: 64a4afe500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kima | 作成日時：2022年5月23日 9時
