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気絶というか睡眠というか ページ3

「お迎えって、やっぱこれ現実なんですよね……」


 どうしろっていうんだ。
 馬鹿みたいに高いビルみたいなものが見えるが、危険ではないだろうか。誘拐の首謀者がいるかも、というか確定でいるだろうし。


 大自然の中だからだろうか。余計に無力感を感じる。わあ、人間ってちっぽけだなあ。
 あはは、と一人乾いた笑いを漏らして、それはすぐにため息に変わった。いや、ほんとにどうしろと。
 そして、現実逃避気味にタワーから目を逸らし、右斜め下くらいの足元に視線を落とすと、


「……!!?」
「…………(すやぁ)」


 ……人が、倒れていた。いや、寝てるのか?
 
 軽くホラーだ。というか、こんな近くに寝そべっているというのに、なんで私は気づかなかったんだ?危機察知能力ゼロか??

 濃い紫色の髪に、シャツにカーディガン……制服だろうか。そして、頭に特徴的なアイマスクをかけた男の人だ。高校生くらいだろうか。パッと見た感じ、外傷はない。
 あえて言うなら、アイマスクを活用してやってほしい。寝てるなら目に被せた方が良いのでは??


 この人も、私と同じ状況下にあるのだろうか。それなら是非とも情報共有をしたいところだが……。

 普通に、怪しい。
 こんな森の中で熟睡してる時点で怪しい。いや、私も人のことは言えないけども。さっきまで寝ていたし。
 でも、警戒心を強く持つことは悪ではないと思う。特にこんな、訳の分からない状況下では。一つの判断が生死につながると言ったって、過言ではないだろうから。
 ここは、放置して行くのが正しいだろう。

 でもなあ……。こんな虫刺されしそうでしかも危険かもしれないところに放置するのは、私のなけなしの良心が痛む、気がする。
 綺麗な顔をしているし、なんだか純粋な雰囲気さえ感じるし、情報を聞き出すという点では起こしたって損はないだろうし……。

 ───うん、覚悟を決めよう。


「すみません、起きてくださーい」
「すぅ……すぅ………」


 反応はない。
 仕方ないので、軽く肩を揺すってみる。


「あの、ごめんなさい、起きてくださーい」
「……」


 少し声を張り上げると、瞼がぴくりと震えた。そしてそのままゆっくりと目が開かれて、髪よりも少し濃い色の瞳が露わになる。……綺麗な色だ。例えるならまるで、夜のような。

 揺らいだ瞳を瞬かせて、その人と目が合った。









 
 

介護と言って差し支えない→←これは夢だと思いたい



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kima(プロフ) - 海獣さん» コメントありがとうございます。続編はある程度書いてから投稿する予定なので、少し待たせてしまうことになると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。 (2022年10月22日 13時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
海獣(プロフ) - マジで最高でした!!続き楽しみに待ってます!! (2022年10月21日 23時) (レス) @page42 id: b62edcffd1 (このIDを非表示/違反報告)
kima(プロフ) - なーさんさん» コメントありがとうございます。とても励みになります。更新ペースがすごく遅いですが、投稿をやめる予定はないので、気長に待っていただけると嬉しいです。 (2022年8月22日 1時) (レス) id: 6fedac0470 (このIDを非表示/違反報告)
なーさん(プロフ) - 個人的にめちゃくちゃ好みです!!更新頑張ってください! (2022年8月21日 15時) (レス) id: 64a4afe500 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kima | 作成日時:2022年5月23日 9時

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